第5話 勇者パーティ ハーレムorノーマル



「話は聞いたぞ、俺達と一緒に来てくれるんだな、正直助かるよ!」


「色々な手配やお世話をしてくれるのですわね…感謝します」


「それは冒険も手伝ってくれる…そういう事なんだよな?」


「助かるよ!ありがとう!」


幼馴染の勇者パーティに仕方なく会いに来た。


報酬を貰うからには仕事として引き受けるさぁ。


正統派金髪美少年の勇者カイト。


金髪でお嬢様ぶっているのが聖女マリア。


実は僕っ子、男の子みたいな赤髪の剣聖リタ。


背が低く、幼く見える天真爛漫な賢者リア。


此奴らの私生活を知らなければ、凄く輝いて見える。


だが、中身を知れば…


凄く不器用な残念系な幼馴染だ。


4人に共通するのは生活破綻者だ。


まず、カイトとリタは文字が真面に読めない。


マリアとリアは読み書きは取り敢えず出来るが、基本的に面倒くさがりでやりたがらない。


そして、一番の問題は日常生活に必要な家事が全く出来ない事だ。


「魔国に入る迄、野営の時や街での行動のサポートは仕事だから頑張る、任せてくれ!」


「おい、今の話だとパーティに入って戦ってくれない様に思えるんだが…」


「そうだよ、討伐には参加しないの? 僕の聞き間違えかな?」


「勿論、参加しないよ!俺が面倒見るのはあくまで日常生活のサポート!簡単に言うなら、街では宿をとったり、事務仕事の手伝い。泊りがけの野営に行くときは食事やテントの設営…あくまでサポートだよ! 俺は旅の旅費は自分で稼がないとならないから、それ以外は別行動しないと生活が出来ない」


「そうなのね…」


「ああっ、勇者パーティの支援金に俺の分は入っていないからな、自分の食い扶持は自分で稼がないとならない…だから俺じゃなくちゃ出来ない事以外は自分で頑張ってくれないと困る」


「そんなぁ~それじゃリヒトはなにを手伝ってくれるの?」


「そうだな…」


最初の頃は…


宿屋、食事、洗濯、その他日常品(ポーション等、旅に必要な物)の手配。


教会や冒険者ギルド、国への報告書、支援金請求の代行。


野営に出た時のテントの設営や食事の準備。


「こんな感じだ!言って置くけど、魔国の勢力圏につくまでで、そこから先は悪いがついていけない」


「真面目な話、本当にそれしかしてくれないのか?」


「いや、充分だろう? 此処迄雑事を俺がすれば、基本的に討伐や依頼をこなすだけだ!結構、余裕のある生活になると思うよ」


「そうか、だが俺達、幼馴染だろう? 少しは討伐とかも手伝ってくれても良くないか?」


そうは言われても同じ村に生まれた同世代の人間。


それだけだ…本当に小さい時に少し遊んだが、親が無くなってからは残された畑を耕し、他の大人の手伝いをしていた。


過ごした時間ならカイト達4人より、その両親と過ごした時間の方が遥かに長いし、好みって言うなら、3人の幼馴染より4人の母親の方が好みだ。


「幼馴染ではあるが、余り遊んだ記憶もお互い無いだろう? 勇者パーティが討伐した獲物は全部、国の物だから、俺は取り分が貰えない…だから俺は金を稼がないと旅、その物が出来ないんだ! 支援金は俺には貰えないからな」


「流石に無理だね、カイト仕方が無いよ」


「なんだか、無理言ったみたいね」


「それじゃ、無理だな」


「解ったよ、リヒト済まなかった」


「いや、良いんだ…と言う訳でサポートは頑張ってするから頑張れよ…あと、少し話をしても良いか?」


まぁ、説明位はしてあげた方が良いだろう…


「あのさぁ、これはカイトを中心にした、将来の結婚を踏まえたハーレムパーティ…そう言う事で良いの?」


「まぁ、恥ずかしながら…そうだよ…うん」


「そう…なのよね」


「そうだよ、うん」


「そうだけど」


「そうか、それじゃ、パーティが魔王討伐後の褒賞から、婚姻関係を外すように書類を作っておくけど良いよな?」


「なんだ、それ?!」


「「「どういう事?」」」


あ~あ、やっぱり解って無かったか。


大体、ハーレムパーティを作る人間って先の事を考えてないのな。


「あのな、魔王討伐をするんだよ?普通に考えて勇者には王族関係者からの婚約の話が大体持ち上がるし、パーティ関係者にも貴族との婚姻の話が出る! 最近では英雄パーティが魔獣を討伐した時、え~とレイラ姉さん以外、王族や貴族と結婚したじゃないか?忘れたのか?」


「「「「え~」」」」


アホだ。


この顔は『本当に忘れていました』そんな顔だ。


「はぁ~呆れた。もしかして忘れていたのか? カイト…時期によるが、もし魔王を討伐出来たらオーロラ姫との婚約すらあるぞ、この国は王家の血族以外は王にはなれないが『王配』の可能性はある。他の三人だって『麗しの貴公子サンジュ様』『薔薇の貴公子フローディア様』『白百合の貴公子アーサー様』あたりとの婚約の話もあり得るんだ…まぁハーレムパーティを選んだ皆には関係ないけど」


「ちょっと待て、そんなの聞いた事無いぞ」


「そうよ、初耳だよ」


「僕だって聞いた事ないよ」


「私も…」


「態々言う話じゃないでしょう? だけど、過去の英雄、勇者の書物を読めば解る事さぁ…それでどうする? ハーレムパーティが良い?それとも普通のパーティが良い? 今なら選べる段階だ」


「それって…」


「良いか?普通のパーティを選べば、これからの旅イチャつきは無し、それらの行為は全て醜聞となる…逆にハーレムパーティを選べば妊娠さえ気をつけていれば何も問題ない、夫婦みたいな物だから基本、何をしても誰も文句を言わない! 今なら好きな方が選べるよ」


「そうか…少し考えてみる」


「「「私達も」」」


「まだ旅立ち迄時間があるから、ゆっくり考えると良いよ」


果たしてどっちを選ぶのか…楽しみだな。











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