第26話 邪教の力
「ベロニカーーーー!!!! 緊急事態だ。邪教がいるぞ、こっちにこい!!」
異変を察知した俺は即座に大声を上げて、救援を呼ぶ。気分はサーヴァントを呼ぶマスターである。さすがに六奇人相手に、フルメンバーでなくて勝てると思うほど俺は調子に乗っていないからな。
しばらく待つとすさまじい砂埃をまき散らしながら、ビキニアーマーの女性が駆け出してきた。しかも、それだけではない。
二人の女盗賊たちをかついできやがった。
「主よ、一体どうしたんだい? なにかおきたと思って、まだ元気だったこの子たちもつれてきたよ」
「うう、こんな痴女に何もできなかったですぅ……」
「魔女ババアにばれたら、また特訓地獄よぉぉぉぉ……」
プライドを砕かれた女盗賊たちが嘆いているが無理もない。ベロニカは戦闘力だけならばゲームでも最上位だったからな。
自己紹介をしている余裕もないのでおっとりとした方を女盗賊(巨)と少しつんつんした方を女盗賊(貧)と呼ばせてもらおう。何が巨で貧かは想像に任せる。
てか、デネブさん魔女ババアとか呼ばれてんのか。ネット民よりあだ名がひでえな。
「なあ、お前らは邪教とつながりがあるのか?」
「あるはずがないじゃないの。むしろ、私たちは邪教と敵対すべく情報を集めているのよ」
女盗賊(貧)が馬鹿にするなとばかりににらみつけてくる。なるほど……この段階ではゲームと違いまだ、中立ではなくこっちよりなようだな。
となるとだ……
「邪教がお前らのアジトを占領しているのは偶然ってことだよな?」
「は? いったい何を言って……」
「こちらを見てください。異世界の生き物がこの拠点を支配しているようです。風よ、舞い踊れ」
ドロシーの詠唱と共に風が舞い、扉をあけると獲物を捕食しようとばかりに触手があふれ出てきやがる。そして、近くに獲物がいないとわかるとすぐに引っ込んでいった。
「何よ、あれ、キモイ……。これが邪教の魔法なの……?」
「中の仲間は無事かなぁ?」
「なんだ、あれは……まるでタコのうでのような……あんなのに絡みつかれたらどうなるんだろう♡」
触手の不気味さに女盗賊たちが戦慄する。ベロニカは何やら顔を赤くしているが気にしないでいいだろう。
「とりあえず、イレギュラーがおきたってことでいいんだよな? だったら、あんたらはデネブさんに応援を頼んできてくれ。うちの屋敷にいる場合はこれを渡せばとりついてくれると思う」
アンダーテイカー家の紋章の入ったハンカチを女盗賊(巨)に渡す。
「別にいいけど……あんたたちはどうするのよ」
「決まっているだろ? ナナシを助けにいくんだよ。俺たちはそのために来たんだからな」
ナナシのあの爆乳は俺のものなのだ。邪教だろうがなんだろうが、触手なんぞに好き勝手させてたまるかよ!!
触手に絡まれる美少女というのもたぎるが、それ以上に俺はNTRが大嫌いなのだ。
「へぇ……未知の相手に迷いなく……」
「ナナシちゃんが気に入った理由がわかるきがするよー♪」
「さすがはお兄様ですね、素敵です」
「ふふ、これは私も主の剣として本気を出せねばならないね」
なぜか知らないけどみんなの好感度が上がっている気がする? まあいいか。俺は爆乳ハーレムをつくるためならば触手ごときに恐れている場合ではないのだ。
それに……俺が雇うと言った時にナナシは本当にうれしそうに笑ったのだ。美少女との約束をたがえるのは男として恥である。
「やるわね、グレイブ=アンダーテイカー。でも、潜入は私たち盗賊ギルドの十八番よ、戦いではそこの痴女に負けたけど、潜入ではまけないわ。見てなさい!!」
「おい、ちょっと……」
俺が止める間もなく、女盗賊(貧)が気配を消して、扉の方へと駆け出して行った。流石は盗賊というだけあってなかなかすごい技術だ。
だが、それではあの海魔たちには通じないのだ。
「な、死角から……ああ、ぬめぬめするーーー、誰か助け……ああん♡」
「あの触手は人の気配じゃなくて音に反応するんだ。しかも、先っぽからでる粘液には媚薬効果があるんだよ……」
「んんーーー♡!!」
女盗賊(貧)即落ち四コマのように一瞬で触手に引きずり込まれると、嬌声が聞こえてきた。
そう、相手はエロ漫画やエロゲーに出てきそうな触手を持つ『海魔』なのだ。おそらくだが、他にも感覚遮断をする『パラライズミスト』や、透明に擬態し人がきたら本性をあらわす通称『壁尻スライム』、宝箱に擬態し、女の子が触れようとした瞬間に舌を伸ばしてぺろぺろする『エロック』など様々な魔物がいるだろう。
ゆえに今回の敵は『エロトラップダンジョンメイカー』と呼ばれているのだ。
「あの子大丈夫かなぁ……」
「なんで敵はこんな魔物を召喚したんですか……頭おかしいんじゃないですか?」
「ふふふ、まさにエンターテイメントだね!! 主よ、早く助けに行くぞ♡」
「とりあえず……君はデネブさんに援軍を頼む。俺たちは警戒していくぞ」
ドンびいている女性陣と一人だけテンションの上がっているベロニカに声をかけて俺たちは拠点へと向かうのだった。
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