第7話

side 朱音あかね


りーちゃんがチョコを渡した事をきっかけに大井おおい先輩と付き合うことになった・・・これはあたしにとっては大チャンスだ。

たぶんりーちゃんは最低限の義理を果たしたら別れるつもりだろうし、そもそも仮だからうやむやにして先輩が卒業してそのままフェードアウトを狙うのではとも思う。

でも、あたしの知る大井先輩ならそんな甘い対応は許さないはずで、最低でも卒業までにデートはすることになるだろうし、そうなればファーストキスを捧げることになるかもしれないし、状況次第ではそれ以上も考えられる。

りーちゃんが不幸になって欲しいわけではないけど、身から出た錆の自業自得の話だからあたしはその隙に優斗君へアプローチさせてもらう。


優斗君はりーちゃんが大井先輩へチョコを渡してから表情が冴えない。もしかすると、りーちゃんが大井先輩の黒い部分によってひどい目に遭わされるのではないかと心配しているのかもしれないし、そもそもりーちゃんが大井先輩と付き合うことになったことがショックだったのかもしれない。

探りを入れたいところだけど、りーちゃんが側に居る状態ではそれも難しい。

3人で下校していて、りーちゃんと優斗君と別れる交差点まで来てしまった・・・普段だったら他愛のない話をしてわいわいしているけど、今日は優斗君が難しい顔のまま黙ってしまっていて、りーちゃんが言い訳したそうにしているものの優斗君の雰囲気に気圧されて何も言えないでいて、あたしもそんな二人に声を掛けづらくて黙ってしまったためほとんど話をしなかった。


二人と別れてからりーちゃんの妹のめーちゃんに今の状況・・・りーちゃんが大井先輩と付き合うことになったことと、それに関係して今あたし達を取り巻いている状況を知らせるべくLINEを送った。

そうしたらすぐに文字ではまだるっこしいので通話で話したいと返信が有って帰宅してから応じることにした。


『もしもし、朱音さん!どういう事ですか!』


「どうもね、大井先輩は岩崎いわさき先輩と付き合ってなかったみたいなのよ。

 それで今フリーだから付き合おうって言われて、自分からチョコを渡した手前断りきれなくて仮で付き合うことにしたんだって。

 そんな事をしちゃったもんだから、りーちゃんは凹んでるし、優斗君もすごく怖い雰囲気になっちゃってね・・・

 だから、りーちゃんが帰ったら近付かない方が良いかもしれないよ」


『たしかに、そうですね。自分の部屋に籠もることにします』


その後もあたしがわかっていることをめーちゃんに教えてあげた。

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