良き文学よりのファンタジー

 家族を持っていた幼馴染が死んでしまうが、幼馴染が家族ではなく同じ幼馴染の主人公を心配しつつ、不思議な変身能力で主人公に寄り添いながら色んな人々に触れる優しい物語です。

 話を読み進めることで幼馴染同士が生前の友達同士の会話をしつつも淡い恋心をお互い持っていたのではないかと想像させられます。
その想いは大人になっては面と話せないことですが、 死 というものを挟んだことで最後に包み隠さず話せるようになり、死 というものは辛いものだけど、その 死 がお互いを素直にさせたことが物語を魅力的にさせているのだと思いました。

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 上記は私の素直な感想ですが、物語の過程で幼馴染の変身能力で解決する事件は人によって賛否両論になるかもしれません。人それぞれの死の受け入れ方、トランスジェンダーの考え方など、人それぞれ違う思いを持っているため、その人が感じている(大事にしている)形の解決方法に沿わない場合は不快に思ってしまうかもしれません。
 私はあまりそういうものを気にしませんが、昨今のニュースなどでは、度々、取り上げられている問題です。強いこだわりを持っている方は、この作者さんの考え方も一人の人間の思いであることを受け入れつつ、この物語にぜひ触れていただきたいな、と思います。