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 その日の夕方まできみまち坂で粘ってみたが、大きな成果は得られなかった。どうも現れる「悪魔のオモチャ箱」のレベルが高いようで、3歳とか2歳とかの子供に与えるにはそぐわないオモチャしか出てこないのだ。


 たとえばタブレット型のオモチャとか、カードゲームのスターターデッキとかそういうのだ。俺も虻川もゲンナリ顔できみまち坂を後にした。虻川はちゃんと自動車免許を取ったらしく、中古のホンダフィットで帰っていった。


 カブくんをのんびり走らせて、家に向かう。着くととき子祖母ちゃんとあかりが夕飯の支度をしていた。茶の間では光が姉貴とわかばちゃんに遊んでもらっていた。

「戦うお父さんしてらんだって?」


「おう……なんの成果も得られませんでした、だったけどな」

 姉貴に耳打ちする。

「わかばちゃんにタブレットのオモチャ、いらねっか?」


「あいにく古いとはいえ本物のタブレット持たせてるんでねえ……」

 タブレットのおもちゃが行き場を失ってしまった。カードゲームはもう一つデッキがないと遊べない。とりあえず中古屋に売ろう。

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