心霊現象3 ふーふーさん

 また話は去年の夏に戻ります。

 息子が夏休みに入る前だったので、7月の始めのことです。

 思い起こせば以前にも不思議なものを見たことがありましたが、幽霊に興味を持ってしまったこの頃から心霊現象が活発になったように思えます。


 情けない話ですが、私は幽霊に2~3日に一度は襲われるような日々を送っていました。

 今書いているラブコメでもヒロインの志依しいちゃんが幽霊に襲われる描写がありますけれど、私は身に異変が起こったら即行で拒絶していますので、身を委ねるような真似はしていません。

 ちなみにその物語に登場する幽霊はその内の1人がモデルで、そして前作「不思議な体験をした。でも怖くない話」に書いたお兄さんでもあります。


 次回はこのお兄さんの続編を書こうと思いますが、今回はその時に出会った幽霊たちについての話です。

 疑問に感じたことがいくつかあったので、みっともない内容ですけれど恥をしのんで載せていきます。


・疑問1「幽霊って肺があるの?」


 夜になったので、私は眠ることにしました。

 でも前に書いた通り2~3日に一度は幽霊が何かしてくるので少し不安でした。

 ですが私は「別に本当に襲われている訳ではないのだからノーダメだし」と虚勢を張って、その日も布団へと転がることにしたのです。


 怖いよ、怖いよ。

 しかし心配は杞憂に。私が布団へ横になるとすぐに現れる幽霊は居ませんでした。寝ている最中に来るパターンもありますけれど、取りあえずは襲われないんだと、私は安堵しました。

 ようやくホッと出来た私は、眠りにつこうと目を瞑ろうとしたのですけれど……


 やばい。後ろに誰か居る。


 私は横向きの体勢だったのですが、背後に気配がしたのです。

 すぐに襲われていたこれまでは違い、これから起こるかもしれない何かが未知数すぎて、私は下手に動けませんでした。


 そんな風に戦々兢々としていたのも束の間。背後に居た何かが、私の腰の辺りを跨いで正面に来たのです。

 私は咄嗟に目を瞑りました。するとその何かは、私が布団から出していた両手を優しく包み込むように握ってきたのです。


 えっ? と思った直後、何やら自分の顔に近付いたり離れたりを繰り返す気配と影が。こ、怖すぎる。

 でもそこで私は悟ります。


 もしかして私の手が顔の横にあるから、そのお陰でちゅーが出来ないんじゃ……


 何だか勝てそうな予感がしてきた私は、意を決して拒絶しようと顔を後ろへと引きました。

 でもそれが失敗だったようです。

 同じように意を決した何かが、焦った様子で私にぶちゅー。手を握ったり、行くに行けなかったり、勢いに任せたし方だったりと色々と可愛らしいので、私はこの何かがまだ子どもなのでは? と思い始めました。それかおじさん(偏見)。


 私はビビリながらも薄目を開けてさらに後退し、一瞬口が離れたタイミングで「こ、こらぁ~……」と、かなり弱いですけれど自分なりに反抗しました。

 その時です。


「ふー! ふー!」とパニックになったように、何かが息を荒くしたのです。

 手を握られ口を塞がれつつ息も吹きかけられる。

 私はその恐怖もありましたが、驚きのあまり薄目だった目をぱっと開きました。でもやっぱり今回も何かの姿は視界に捉えることが出来ませんでした。


 私の前髪が、観音扉を開くようにファサッと左右に散りました。おでこに当たるくらい、顔全体に息が激しく吹きかけられます。恐怖です。

 ずっとふーふー言っていてとても怖かったのですが、


 いや、待てよ。幽霊って息をするのか? 肺って存在しないよなぁ。


 と、急に私の意識がそっちに飛び冷静になることが出来ました。

 そう思ったら私の勝ちです。

 相変わらず、手・口・息の3点セットでしたが、私はいつものように怖いと言うよりも嫌だという気持ちを強くし、勇気をもって手を引っ込め顔を背けました。


 するとやっぱりその何か……幽霊は消えたのです。

 よく波長が合ってしまい幽霊に遭遇することを“チャンネルが合う”と表現するらしいのですが、まさにチャンネルを変えたい、幽霊にとらわれていた意識を別に移したいと拒否した瞬間に何事もなくなりました。


 隣では息子がベッドで寝ています(私はお布団)。

 くぅぅ。みっともないよ~……!

 そんな風に惨めに感じて、その日も私は心にダメージを受けつつ眠りにつくことが出来ました。


 以上です。これが疑問1「幽霊って肺があるの?」でした。


 皆様はどう思いますか? 同じような体験だったり、何か知っていることがあれば是非教えて頂きたいです。


 長くなってしまったので、疑問2は次回に。

 ちなみに次からこの幽霊を“ふーふーさん”表記することにしますね。


 変な話にお付き合い頂き、どうもありがとうございました。本当にすみません!

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