試練の間 終 女神

 やがて、米粒くらいの大きさにとどまる。それは、綺麗な真珠のように光り輝いている。

 ようやく、準備は整った。結界は、ガラスの欠片が散らばるように砕け散り瞬時に消え去る。

 その、瞬間。俺の人差し指から放たれた。【オリジン】はゆっくりと相手に向かって飛んでいく。さすがに危険を感じたのか。魔道騎士は後方にステップして距離を取ろうとする。しかし、オリジンは相手を追尾して加速していく。そして、魔道騎士に軽くオリジンが当たると水の音がポチャンと俺の耳に聞こえてきたあとに魔道騎士が一瞬にして消え去る。


 我の魂は、其方により解放された。ありがとう。試練の間を攻略したモノに褒美を与えよう。受け取るがよい。


 ♢ ♢ ♢


 そんなわけで俺は、試練の間を攻略したのだ。その結果として、魔力を失った。これから始まる。魔剣に魔力を与える行為を恒例のように感じてしまっている。まるで10か月ごとにある健康診断のようだ。ふとそう思っていると、やわらかい感触が背中に当たる。前からも柔らかい女の子の身体が俺を包んでくれる。魔剣の美少女による魔剣サンドイッチにあう。俺は、これこそハーレムではないか?と、そう考えていた。もちろん、魔力は徐々に吸われている。少しは加減を覚えたようで安心していた。いきなり、魔力が急激に減っていくのを感じ、またも、この展開を予測してしまった。


「ちょっと!ひっつきすぎじゃないかしら!ねぇはやと、なんか当てられていやよね?いやと言いなさい」


「いいえ、そんなことはありません。はやと様は私の、をむしろうれしいと思いますよ。ふふふ」


 ちなみに俺は互いに引っ付いてくれたほうがうれしい。こんな俺を二人の美少女が腕を綱引きのように持って引っ張りあうのは満足である。


「ふたりとも、おれのために。喧嘩するなよ。順番、順番」


 なんていうか、今、ハーレム主人公の気分なった気がする。まずは、このハーレムを楽しむとしよう。いや、段々と力が強くなってきてるんですけど、あ、これはダメなパターンに入っている。あと、そんなに魔力を吸わないで、頼むから。


 そういえば、女神様に最近あってないな。もう一度会って話をしたい。


 ふと、そんなことを考えていたら、意識を失った。


 また暗いところにいる。目の前には、光り輝く球が宙に浮いている。眩しいと感じていると女神の声が聞こえてくる。


「お世話になっております。女神です。簡易的な場所での再会で申し訳ありません。今が起きており勇者を派遣している最中で忙しくて」


  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る