クワイエは降参した。意識がなくなったおれは、精力を持っていかれる。

「わたくしはまだっ……負けてないっ!!」

 猫のような細い目で俺の顔をギロリと睨んでいる。ギリっと歯を食いしばって首を絞める力がより強くなっていく。

 俺の力ではどうすることも出来ない。

 苦しむ俺を助けるためにクラリエはクワイエの腕を掴むと首が少しずつ解放されていく。

 魔剣同士の力比べとなった。


「ぐっ、はぁはぁはぁはぁっ」

 クラリエのおかげでクワイエの腕から解放されて息を吸い呼吸ができるようになる。


 そのまま、クラリエとクワイエ両手を合わせて

 互いに押しては引いて頭突きをしたりしながら

 魔剣の戦いとなった。


 ぐぬぬっ。どちらも譲らずに互角の力を見せる。


「いい加減にあきらめなさいよっ!!」


「まだっ負けてませんからっ!!」


 ガチッと、またぶつかり合う。

 俺は呆然と立ち尽くすことしか出来ないのか?

 いいや、クラリエに俺のありったけの魔力を

 注ぎ込めば勝てる可能性はある。


 クラリエの両肩を掴むと魔力を流し込む。

 流し込み方はわからないが、クラリエ側から魔力を吸収して貰えばいいことだ。


「―受け取れ!!俺の魔力!!」


 クラリエは、はぁはぁと息が荒くなっていく。

 魔力によって力がみなぎってきたのかクワイエを押し返し始めている。


「だめっ、これ……以上はっ……いっちゃう!!」


 何がいってしまうのか?と言いたいところだが

 俺の魔力は底をつき後ろに倒れ込む。


「あとは、任せた……ぞっ!!」


 グワッと赤いオーラを出しながらクラリエはクワイエをねじ伏せるようにさらに押し込んでいく。


「いいいいたいっ、こここ、降参します!」


 クワイエは涙目になりながら降参を宣言した。



 ♢



 意識のない俺は、黒い空間の中にただ1人ぽつんといた。

 手や足は動かすことは出来る。

 歩くことはできそうにない。

 声がでない!!

 闇の中で少しずつ大きくなっていく青い炎。

 形を俺と同じように変化すると炎から声が聞こえ始めてくる。


 ―ここは闇の間。

 お前は魔剣を2つも求めた。欲張りな男よ。

 その魔剣の代償として命を頂く。本来は1人1つに決まっている。

 と言いたいところだが、今回だけはお前の精力をのみを頂くとしよう。

 安心するがよい。また溜まってくるであろう。

 若いから出る時も勢いがあるだろうしな。起きたときに賢者タイムになっているが心配いらない多分。


 声がでないのをいいことに俺の精力は勝手に奪われていく。


 どうやって?精力を奪われていくのか疑問に思うけれど気にしたら負けかもな。


 あっ、言い忘れていたが私の名は―。

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