第15話「もぅ、カケルパパのえっち……」
このまま俺たちがグズグズしたせいで、裸のサファイアが風邪でも引いたら困る。
だいぶ温かくなってきたとはいえ、日が落ちるとまだまだ肌寒いからな。
それに考え方を変えればいいんだ。
俺とミリアリアが夫婦をしているのは、あくまで任務にすぎないのだ。
しかも世界の命運がかかった重要な任務だ。
任務を遂行するのに、恥ずかしさは必要ない!
ただただ行動あるのみ!
俺はイージスの強襲攻撃部隊『アサルト・ストライカーズ』のエース、カケル・ムラサメだ!
「よーし! どっちが速いか競争だ!」
俺はそう言うとパパっと服を脱ぎ、トランクスも脱ぐと、
「きょうそう、って?」
首をかしげるサファイアを横目に、勢いそのままお風呂場へと突入した。
「はい、俺の勝ち。俺がお風呂一番乗りなー」
「わわっ!? むらさめ! かってにゆって、かってにやるの、ずるい!」
俺の電光石火の不意打ちに不覚を取ったサファイアが、( >Д<;)な顔になる。
「くっくっく、勝てば官軍。歴史は勝者が作るのだ。隙を見せたサファイアがいけないのだよ」
「むぅ! ああいえば、こうゆう! つぎはサファイアが、かつからね!」
「じゃあ身体を洗う速さで勝負しようか? 言っておくが、イージスのエージェントは任務のために、食事や入浴を短時間で済ます特殊な訓練を受けているんだぞ? ほら、こんな風にな!」
俺は1分でパパっと頭を洗い、顔を洗い、身体も洗って湯船につかった。
「むふっ!? むらさめ、ちょーはやい!? すごい!」
「ふふん、この勝負も俺の勝ちだな」
「むー、しかたありません。サファイアは、おとなのレディー、だから。すなおに、まけを、みとめます」
……。
「ミリアリアママ、頼むからもう少し子供らしい言葉を教えてやってくれ」
まだ服を脱ぎ切っていなかったミリアリアに、俺は浴槽から苦言を投げかけた。
「最近の子はませてるんです。特に女の子は。これくらいは普通です」
「そんなもんか?」
「そんなものです」
なるほど、女の子のミリアリアが言うんだから、きっとそうなんだろう。
少なくとも俺よりは、小さな女の子への理解度が高いはずだ。
……でも、ほんとか?
とまぁこんな風に、緊張感をファミリアルな空気に変えることで、俺はこの難局を乗り切った。
状況を自分有利に持っていくことくらい、イージスのエージェントならお茶の子さいさいだ。
しかもこれで身体を洗いっこするだのなんだの、想定されるハプニングイベントも先んじて封じることもできた。
サファイアはきっと「みんなで、あらいっこ、しましょう!」みたいなことを言うだろうからな。
ここは先手を打たせてもらったぞ。
俺はイージスの強襲突撃部隊アサルト・ストライカーズの隊長、カケル・ムラサメ。
少し本気になればこれくらいのことはたやすいのだ。
などとやっている内に、ミリアリアがお風呂場へと入ってきた。
なるべく見ないようにするものの、つい視線が行ってしまうのはミリアリアがとても魅力的な身体つきをしているからに他ならない。
いくら世界を救う任務だと己の心に言い聞かせても、俺も男なので、ミリアリアみたいな可愛くて魅力的な身体つきをした女の子とお風呂に入って、まったく何も感じずにはいられないのである。
ミリアリアは手で大事なところは隠していたし、不自然な白い湯気が視界を邪魔していたものの。
それでも隠しきれていない胸の膨らみや、きゅっとくびれた腰のライン、可愛らしく膨らんだお尻、健康的な太ももとふくらはぎは俺の心を魅了してやまなかった。
「もぅ、カケルパパのえっち……」
「わ、わるい」
俺としたことが、ミリアリアの美しい裸体に完全に見とれてしまっていた。
「ママ、おっぱいおおきい! すき!」
サファイアがミリアリアに抱き着く。
「サファイア。そういうことは人前では言わないの」
「……? かぞくだよ?」
「そ、そうなんだけどね……ほ、ほら頭を洗うからシャンプーハットを被ろうね」
「うん!」
シャワワワワワワワ~!
ミリアリアはシャンプーハットを被ったサファイアの頭にシャワーのお湯をかけながら優しく頭と髪をほぐし始める。
「痛くない?」
「ぜんぜん! きもちいいよ!」
「ふふっ、よかった」
ミリアリアがサファイアの頭を洗ってあげるのを、俺は湯船か横目で見守る。
ミリアリアの魅力的な身体に興奮を隠せない反面、本当の親子のような2人の姿に、俺はなんともいえない幸福感を感じていた。
ミリアリアと夫婦になると毎日こんな感じなんだな、なんてことを考えて、ついつい顔がにやけそうになってしまう。
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