ダンジョン潜り
翌日、予定時刻通りに王宮に集まった俺らは、調査結果をウィーラーチ様に報告した。
「そうか……なるほど、それほどまで巨大な魔法痕が……」
「はい」
「……分かった。私も一つ手を打つとしよう」
「ウィ、ウィーラーチ様直々!?」
「ああ」
その返事に、余りが少々ざわつく。
「ぐ、具体的には、何をなさるおつもりなのでございましょうか?」
「まあ待て、少しばかり、助っ人を呼ばないとな」
「助っ人……と、言いますと?」
「ダンジョン潜り達だ」
「ダンジョン潜り……ですか?」
ダンジョン潜りは、その名の通りダンジョンに潜るのを仕事としている、言わばダンジョンのスペシャリストだ。
ダンジョン潜りは、元S、A級達の冒険者が就く事も多いので、かなり信頼できる職業だ。
「陛下、失礼ながら、何故ダンジョン潜りを……?」
「簡単な事だ。その事件、恐らくダンジョンに深い関わりがある」
「ダ、ダンジョンに!?」
ダンジョンと深い関わり……? 一体どういう事だ……?
爆破事件が起こったのはダンジョンなど1mmも関係ない闘技場、そしてその爆発にダンジョンのモンスターが使われた訳でもない。
というか、爆発するモンスターはダンジョンの二百層辺りくらいからしか出て来ないで、そう簡単には手に入れられないはずだ。
「か、かしこまりました。至急腕利きのダンジョン潜り達を連れて参ります!」
「頼んだぞ」
「はっ!」
そう言って兵士達は駆け足で部屋から出て行った。
「……さて、諸君」
ウィーラーチ様がこちらを向く。
「疑問に思っただろう。ダンジョンに関係があるとはどういう事なのか、と」
皆んなが恐る恐るコクリと頷く。
「ダンジョンの地形を……覚えている者はおるか?」
ウィーラーチ様は俺らを
「……なるほど、分からぬか。まあ仕方あるまい。普通は覚えるものではないからな」
ウィーラーチ様は姿勢を少し正すと、ビシッと目つきを固くして、こう言った。
「ここら一帯のダンジョンは、全て我が国の真下にも広がっている。それも、かなり浅めの位置にな」
「「「「「!」」」」」
その一言で、俺達は気付いた。
そう、この爆破事件の犯人達は、ダンジョンを通って闘技場の真下にに行き、上へ掘って爆破させた可能性がある!
確かにそうすれば、闘技場に行くまでの間に人目につく事も無いし、どんな荷物を持ってても怪しまれない!
「なるほど、ウィーラーチ様……流石です」
「ふっ、王たるもの、最低でもこの国の事は全て知っていなくてはなるまい」
あっ、少しニヤついてる……嬉しいんだな。
「さてと、ダンジョン潜り達が来るまでに、諸君らは休息を取っていたまえ。私は、少し自室にて調べる事があるので、失礼する」
そう言ってウィーラーチ様は部屋から出て行った。
「……でもそうか……ダンジョンか……」
ダンジョンも扱い方によってはそんな事にまで扱えてしまうんだな……。
「ルイド、私は休憩室で休んでるから、三人で少し王宮内を探索してみたらどうだ?」
「「「おっ、王宮内を探索……!」」」
誰もが一度は憧れる、大きな王宮を自由に探索出来るのか……今……!
やるしかない!
「よし! 急いで行くぞ! エリシア! ラルム!」
「「はい!」」
そうして俺らは王宮を探索し始めるのであった。
◾️ ◾️ ◾️
あれから約二時間後、俺らはまたウィーラーチ様の元へと集まっていた。
どうやら、腕利きのダンジョン潜りさん達が集まった様だ。
「入れ」
「「「「「はっ」」」」」
そうして続々と色々な人が入ってくる。
「……え?」
そしてその中に、記憶している顔があった。
「お初にお目にかかりますぅ、ウィーラーチ様」
「うむ。ではダンジョンの道案内、頼むぞ」
「御意」
この西の方の喋り方は……!
間違いない……!
「そうだ、
「はい、俺……私のぉ名前は〝ヴィリット〟と申しますぅ。そして私の背後の人達は、左から順に、ラクト、ヴィーフ、ラパド、モルゼと申しますぅ」
馬車に乗る前に出会った、ヴィリットさんだ!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます