調査結果
「よし、本日分の調査はこれで終わりだ。皆んな、お疲れ様」
あの後、俺らは魔法痕を調査し続け、日が傾いて空がオレンジ色に染まった頃合いに、ヴルーケさんが皆んなにそう言った。
「さて、今回のこの調査で分かった事……まあまだ完全に分かった訳じゃないが、取り敢えず現時点で判明している事を伝える。まず、自爆魔法が付与されたあの腕輪、あれはグングー商会によって南の方から持って来られた物だった様だ。何でも、魔法やスキルの効果を高める効果があるらしい」
そんな効果を持つ腕輪もあるのか……。
聖騎士の人とかに使われたりしてるんだろうなぁ……。
「それで、使用されたスキルは、【自爆(大)】であったと推定される。これは、魔法痕の状態から見ても間違いないだろう。そして、使用された爆弾についてだが、かなりの種類の爆弾が使用されたと見られている。理由は、爆弾の破片の統一性の無さと、明らかに爆弾の色が違うといったものが見られたからだ」
爆弾の色が違う……?
あれ? でも昨日は違わなかった様な……いや、暗がりだったし、気のせいか。
「まあ今回分かったのはこのくらいだな。細かい事は聖騎士や、魔法痕のエキスパートの
「ほう、上級魔術師にか?」
そう言ったのはアリスさんだった。
「ああ。彼らならば今回の調査で分からなかった事も分かるだろう」
「だがあいつら、最近我々と少しばかり波が立ってきているだろう? 素直に応じると思うか?」
「国王からの命令ならば従うしかあるまい。ましてや、知識王からの命令ならばな」
「ふむ、まあそうだな……だがあいつらと組むのはちょっとな……」
最後の方にそうボソッとそう言ったが、何やら色々ありそうなので無視する事にした。
「それでは、今日はこれにて解散とする。各自十分に体を休め、明日の十時に王宮に集合してくれ」
「「「「「はいっ!」」」」」
「では解散!」
そうして周りにいた人達がテントから出ていく。
「それじゃあ、私達も行こうか」
「そうしましょうか」
「そうだ、彼女達が良ければなんだが、少し付き合ってくれないか?」
「? 俺は良いですけど……エリシア、ラルム、どお?」
「…………ルイド様がそう
「私も同じです」
「ありがとう。それじゃあアリスさん、何に付き合って欲しいんですか?」
「ふっふっふ、まあ付いてきたまえ」
そう言って歩き出したアリスさんに俺らは付いて行った。
そして数十分程歩いてアリスさんが立ち止まった場所は、一軒の大きな屋敷だった。
「ここは?」
「私の家だ」
「いっ、家!?」
この屋敷が、家!?
いや、まあでもそりゃそうかもしれない。だって聖騎士の副団長様なんだし。
いやぁ、ほんと凄いよなぁ。
「それでだな、私の家まで付いてきて貰った理由だが、家の庭稽古をさせて貰いたいと思ってな」
「……ん? させて貰いたい?」
「ああ。君は私に勝っただろ? だから、私にその剣技を教えて欲しいんだ。あっ、もちろんタダとは言わん。まあまず前料金としてこのくらいは出そうと思ってる」
そう言ってどこからか現れた執事さんが台車に乗せて持って来たのは、とんでもないデカさの袋だった。
「えっと……?」
「中には金貨が約一万枚入っている」
「い、一万枚!?」
大金……なんてもんじゃないぞ!?
それ位あれば、かなり広い領地くらいは買える!
そ、そんな大金を……ま、前払い!?
どんな稼ぎをしているんだアリスさん……!
「た、足りなかったか? っ、セバス! もう一万追加だ!」
「かしこまりましたお嬢様」
「いえいえいえいえ! 十分です! というか十分すぎです! その、驚いてしまったと言うか……こんなに頂けないと言うか……」
「ああ、なるほど。そうだったか。だがな、君のその剣技を教えて貰うという事には、それほどの価値があると思っているのだよ。何せ、私を負かした剣技だからな」
あっ、そういえば確かに、なんか実感が無かったけど、俺現聖騎士副団長に勝ったんだよな……。よし! ちゃんとダンジョンで決めた通り強くなれてるっぽいな!
「だから、受け取ってくれないか?」
「そ、そこまで言われてしまったら、受けとるしかありませんね」
そう言って俺は袋を持とうとした。
「おっも!」
そうだった、中身は一万枚の金貨なんだった。
「くははは! そりゃそうに決まっているだろう! 何の為に台車で運んだと思ってるんだ! くはははは!」
「よいしょ」
「……え?」
まあ、ちゃんと腰に力を入れたら持てない事も無い。
「ふぅー、いやー、やっぱり金貨一万枚は重いですね」
「ルイド、君は一体どんな筋力をしているんだ?」
「?」
そんな事がありながらも、俺らは稽古をする為にアリスさんの庭へと歩いて行くのであった。
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