4.レーナの病

 夢にうなされた夜が過ぎ、翌日の学院は静かな朝を迎えました。しかし、その平穏は長くは続きませんでした。私たちの親友であるレーナが、突然体調を崩し学院を休むことになったのです。


「レーナも変な夢を見ていたって・・・」とメアリーが心配そうに伝えました。

 彼女の言葉に、私の心は重く沈みました。レーナの状況はステファニーの時と似ていて、また同じ黒い霧の夢を見ていたというのです。


「どうしてこんなことが・・・」と私はつぶやきました。

 不安と恐れが心を支配し始めていました。そして、私の頭の中には、ドーラへの疑念が浮かび上がってきました。彼女が現れた私の夢と、レーナの病状との間に何か関連があるのではないかと。


 その日の放課後、私はドーラと二人きりで話す機会を持ちました。

「ドーラ、あの夢のことなんだけど・・・」と切り出すと、彼女は顔を曇らせ、「アリス、夢のことは気にしないで。ただの夢よ」と答えました。

 しかし、彼女の言葉には説得力がありませんでした。


「でも、レーナも同じような夢を見ているのよ。何か関係があると思わない?」と私が追求すると、ドーラは苦しそうな表情を浮かべ、「わからないわ。でも、私は関係ない」と言い切りました。


 私はドーラの様子にますます不安を感じ始めました。彼女の言葉と表情からは、何かを隠しているような印象を受けました。私たちの間には、夢と現実の間で生じた疑念が漂い始めていました。


 私はレーナの家を訪れ、彼女の母親から症状について詳しく聞きました。

「彼女は夢にうなされ、毎朝疲れ切っているの」と彼女の母親が言いました。レーナの部屋に入ると、彼女は青白い顔でベッドに横たわっており、彼女の様子は深刻でした。


 私はレーナの手を握り、「大丈夫、きっと良くなるから」と慰めましたが、心の中ではドーラへの疑念と恐怖が募るばかりでした。夢と現実の間で何が起きているのか私には分かりませんでした。

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