2.教会での出来事

 学院の日常が徐々に戻ってきたある日、私たちは教会に訪れることにしました。教会は王都の中心にありながら木々に囲まれた静かな場所にあります。教会の古びた壁と美しいステンドグラスは、何世紀にもわたる歴史を物語っていました。


「ここはいつ来ても落ち着くわね」とリザが言いました。

 私たちは教会の中を静かに歩き、壮大な内装に圧倒されました。教会の中央には、荘厳な祭壇があり、そこからは神聖な雰囲気が漂っていました。


 突然、賛美歌が始まり、その美しいメロディが教会内に響き渡りました。私たちは歌声に導かれるように進み、合唱団の美しいハーモニーに聞き惚れました。


 しかし、その時、ドーラの様子がおかしくなりました。彼女は賛美歌の音に顔をしかめ、不快そうに顔を歪めました。

「ドーラ、どうしたの?」と私が尋ねると、彼女は「わからないけど、この歌声が・・・気持ち悪くて」と答えました。


「ここにいたくない」とドーラが急に言い出し、教会から急いで出ていきました。

 私は彼女について外に出ると、「具合が悪いの?」と心配して聞きましたが、彼女は「大丈夫、ただちょっと・・・」と言葉を濁しました。


 ドーラの反応は異常で、何かが彼女を苦しめているようでした。私は彼女の肩を抱き、「もし何かあったら言ってね」と伝えました。しかし、彼女はただ黙って頷くだけで、その目には明らかな不安が浮かんでいました。


 私たちは教会から離れ、王都の道を歩きました。ドーラの様子は普通ではなく、彼女が何を感じているのか、私には全く理解できませんでした。教会での出来事は、私たちの心に新たな疑問を残し、何かが彼女を脅かしていることを強く感じさせました。

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