第21話 ダッシュ

 教室の戸が勢いよく開いた。


「ヤァーーーーーーーーーー!!!!!」


 ダンッ!!!

 パァン!!!

「メアァァァァァァァァァァ!!!!!」


 剣道二段のボンコの面が炸裂した。


 んんっつぅー…


 ダニ多分…が唸って丸まった。


 今までに聞いた事の無い様な、ボンコの声に面食らっていると、ぐいっと腕を引っ張られて…


 2人で教室から駆け出した。


 急げトイレへ!!




「ボンチありがと助かったー…ねえ…さっき…ジェスチャー分かった?」

「は?ジェスチャー的な何かやってた!?」

「薄い本…置いといて…ってやってたの分かんなかった?」

「あー!てか薄い本!どこ置いた?ぎゃくにー!?」

「あ…」


 2人で教室へ駆け出した。




 ダニ多分…が、まだダンゴムシの様に丸まっている。


「死んでる?」

「てか竹刀だから死ないしぎゃくにー!」


 …はい?


 ボンコが何も気にせず、普通に教室へ入って行った。

 ダンゴムシの尻辺りに、下敷きになっていた薄い本を抜き出して…


 2人でトイレへ駆け出した。




 期待満タンで七不思議の本を開く…


 ◇◇◇◇

 人生ナナ節


 ナ~ナ~なんとかなるもんさぁ~♪

 ソレッ

 ナ~ナ~…




 えー…


「あっヤバッ!ウケるー!ウチがまじ落としたヤツー!拾ったみたいなー!?ハハハまじ自業自得的なー!ヤバいウケるー!」


 図書室から持って来てしまったナナフシ音頭を、知らないうちに落として、それを拾って来たみたいだ。

 テヘッと舌を出して、スカートのウエスト部分へ差し込み…


 2人で教室へ駆け出した。




 ダニ多分…が廊下を歩いて行くのが見えた。

 教室に入ると、薄い本は落合さんの机の上に置いてあった…


 2人でトイレへ駆け出した。




「ハァーハァー…ねえ…さっきダジャレ言ってたよね?」

「ハァハァ?ダジャレー!?」

「竹刀…死ない…とかって…」

「てかダジャレとかしないしー!」


 …はいはい?


 ボンさん…

 あんた、人体模型の挿し絵書いた人と気が合いそうですな。


「てかさー…ダニー…アイツ柔術やるから!!まっじっでっ!!気をつけて!!」

「呪術…そんなのできるんだ…ふーん…わかった…」

「てかダニー帰ったしトイレじゃなくてもよくない!?ぎゃくにー!」


 2人で教室へ駆け出した。




 期待満タンで七不思議の本を開く…




 ◇◇◇◇

 M yベストヘア ベートーベンスタイル


 ベートーベンは、隣のヘンデルのロン毛が羨ましくて、髪の毛をのばしましたが、クセが強めなので、まとまらなくて困っていました。


 すると、ハイドンが

「ストパーかけなさい」

 と、上から言ってきたのでイラッとしましたが、かけてみたら良い感じになりました。


 それからは放課後に出かけて、人々にロン毛を見せびらかすようになりましたとさ。

 ◇◇◇◇




 とさ…


 ボンコがスン顔で、ベートーベンの本を、机にペッと放った。




 落合さんが、ヘアメイク関連の本も借りまくっていたとさ。

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