詩集 ~街~

由上春戸

街に待ち

街に待ちわび

街に生き

それでも今も街は街

驕れる夢は未だ遠く

秋華に揺れる遥かな街


この街で朝日は昇って水面を照らし

この街で夜闇は訪れ木々を覆い

幼い命は泣き喚き

老いた命はたしなめて

廻って巡って繰り返す

見慣れた街の見慣れた景色


この街で言葉が生まれ笑顔が生まれ

この街で嘘が生まれ憎悪が生まれ

清かな昨日は淡く霞んで揺らめいて

冷たい明日へと曝されて

廻って巡って繰り返す

いつもの街のいつもの結末


街に待ち

街に待ちわび

街に死に

それでも今も街は街

無限に歌い

夢幻むげんに遊び

静かに暮れゆく遥かな街

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