第9話 承認欲求の扱い

 近年、承認欲求という言葉はとても身近になったね。ツイッターやインスタで承認欲求モンスターみたいなのが現れた影響か、言葉にマイナスイメージがつきまとってきてるような感もある。でも承認欲求というのは、人間欲求の根幹に関わってくるもので決して悪いものじゃない。赤ちゃんは泣き声をあげる事によって、自らの存在を親に知らせ承認させる。承認欲求が満たされた赤ちゃんの泣き声は、キャッキャッという笑い声に変わる。それが承認欲求の始まりだ。


 その後も成長する過程で「ほら見て、頑張ったよ、頑張ったんだ」という自らを誰かに承認してもらいたい欲求はずっとつきまとう。

 大切なのはバランスだ。行き過ぎてしまうと六地蔵リクオのような承認欲求モンスターになってしまう。それに警鐘を鳴らすために私は「ウェブ小説に狂った男」を書いた。承認欲求は人間にとって本来とても大切なものだ。


 だから、承認欲求が満たされないが故に「承認欲求がないふりをする人間」が大嫌いなのだ。承認欲求がないといってサマになる人間はそうはいない。どういう人間がサマになるかというと、すでに承認され尽くした人間だ。わかりやすいところで、若い頃から承認され尽くしてきた世界的な俳優が年を重ね「もう今は承認欲求などというものはない」といえば実にサマになり、多くの人はうなずくだろう。もうお腹いっぱいなのだ、承認されるという事に。食欲も性欲も睡眠欲もそうだ。極上のものを腹いっぱい食べた後、食べものに興味はなくなってしまうだろう。

 

 ロクに承認された事もない人間が、姿、みっともない事はないんだよ。

 

 自分の承認欲求を大切にして、うまくコントロールして、少しでも良い小説を書こうと努力している人は胸を張って「私は承認欲求がある!」と言えばいい。

 「私は承認欲求なんて克服したはずだ」「私には承認欲求はないのですね」なんて言ってる承認欲求モンスターより百倍かっこいいからね。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る