断罪後の悪役令嬢から始まる冒険記

ワシュウ

第1話 よくあるプロローグ

第二王子のお誕生パーティーが学園のホールで行われている


その第二王子と話してる所で招待してない第一王子が令嬢をエスコートして入ってきた


「グロステーレ王国の第一王子にして王太子のレオナルド・ジョネル・グロステーレがここに婚約破棄を宣言する!

マリーウェザーよ!リサを傷つけた罪を許すものか!」


リサ「レオナルド様ぁ」


うっとりとレオナルド王太子を見つめて頬を染める令嬢。どう見ても醜い顔をしてるけど、王太子の目は節穴かしら?

ブス令嬢のリサさん…

確か、ファースリーブ公爵派の遠縁の男爵家の庶子の出だったかしら?

それもう平民では?


「まぁ!おかしな事を仰るのね?」


そもそも、私はお前の婚約者でもないのよ?

あくまでも候補ですよ?頭に虫でもわいてますの?


「お前は授業にも出ず不真面目で、リサを階段から突き落として、教科書を破いて、ドレスにワインをこぼして恥をかかせたそうじゃないか!」


「身に覚えのない冤罪ですわ」


「マリーウェザー様が酷いの!リサ泣いちゃうわ!ピエン」


ピエン?!



その瞬間…雷に打たれたような衝撃が来た。

ピエンなんて…この世界の令嬢が使うかよ!



王太子とブスがごちゃごちゃなんか言ってるけど、んなこたーどーでもいい。


俺は、このポジションは悪役令嬢になったの?うそん

ここ最近で一番ショックだなぁ…マジかぁ


マリーウェザー・ハインツ公爵令嬢


プラチナ・ブロンドの髪の毛(ほぼ白髪)

宝石のような碧眼、彫刻よりも整った美しい顔

俺めちゃめちゃ可愛いやんか!ヒャッホーイ!

え、ちょっと人生勝ち組のイージーモード?

うはぁ!やったー!


「聞いているのかマリーウェザー!」


「うるせぇ!この節穴王太子が!よく聞けよボケ!

まず私は、お前の婚約者じゃねーし、ただの候補だ!婚約破棄とか宣言しちゃって恥ずかしくないんかい、阿保じゃね?

それと冤罪ふっかけんなよブース!ドブス!

腫れぼったい一重まぶたに、少なくて短いまつ毛!

鼻もデカくて団子みたいだし、吹き出物とそばかすと…それシミかよ、うわぁ…おばちゃん何歳なん?うちのお母様より確実に上だよな?

髪の毛も艶が無くて、地肌が臭そうなボサボサヘア!マジで無いわー!ドン引き!

二重あごのデブが肩出して歩くなよキッショ!無理無理絶対に無理!少しは慎めブス!

おばちゃんさ、転生チートで若返ったり生まれ変わったり出来なかったの?うわぁ~悲惨!憐れだね…魅了スキルか禁忌アイテムか何か使って王太子を誑かして一生騙して過ごすつもりかもしれんけどさ、いつかはガタが来てボロがでるぜ?

大体、そいつは俺の他に正妻いるしな。

俺は第二夫人か側室にされそうだったけど、何とか回避出来たみたいだな!

神よー感謝します!アザーッス!

大体、そのでっち上げた冤罪も意味わからんし!

俺はお前みたいブスと授業で会ったこと無いよね?

俺はまだ10歳だけどさ、大学を飛び級で合格してて、ここの学園の講師してんの!わかる?

王城で妃教育させられるのが嫌だから学園の講師を引き受けたの!

授業出てないんじゃなくて、3回生に教えてんの!アホかよ!周りに聞いたらわかるだろ?

ってか、俺はレオナルド殿下と同期生だからね!

入学から卒業まで首席だったじゃん?卒業生代表の挨拶したのも忘れちゃったの?

留学してたから半分くらいしか学園にいなかったけどさ。

記憶を弄り過ぎて王太子の脳みそパッパラパーになってるんじゃね?」


とここまでまくし立てて会場がとても静かな事に気がついた。

みんなポカーンとしてる

アチャー


「マ…マリーウェザー?」

ここで空気だった第二王子のアイザックが声を出した。


「ウッ……余りの王太子の暴言にショックで思ってもないことを言ってしまいました。全部聞かなかったことに…無かったことにして下さい(潤々)」


どの口が言う!と周りから聞こえてきそうだ。誰か突っ込んでくれ!


「あんたの方がよっぽど暴言だったじゃない!

私のどこがブスなのよ!ふざけんじゃないわよ!あり得ない、そんな事あり得ない!何で私の前世を知ってるのよ!アンタ私の知り合いなの?

レオナルド!あいつを死刑にして!不敬罪よ!今すぐ殺して!」


「んなっ!マリーウェザーに指一本触れさせない!近衛騎士(ドルトン)!

兄上!目を覚まして下さい!

マリーウェザーはまだ候補で正式な婚約者じゃないです!大人しく諦めて下さい!マリーウェザーは僕が……僕が娶ります!」


「アイザック!何を言ってるんだ!マリーウェザーは王太子妃になる予定の私の婚約者だ!」


「兄上、何を言って「はぁ?!レオナルド!私が王太子妃になるんでしょ!チッ課金アイテム買っとけば…ってか正妻がいるなんて聞いてないわ!誰よ!」


「ミシェランド公爵令嬢のマデリーンお嬢様だよ。何で知らねーんだよ」


「私は成り上がりの男爵令嬢の設定なのよ!公爵令嬢なんて合う機会ないから知らないわよ!」


「言質は取ったぜ?俺も公爵令嬢だからな!お互いに合う機会ないよね?ふぅー冤罪が証明出来たみたいだな。

では皆さんごきげんよう」


「マリーウェザー待ってくれないか、僕と結婚しよう」

アイザックが跪く


「離せ!この嘘つき男爵令嬢!

マリーウェザー待ってくれ、私が間違っていた」

バカ王太子が跪く


「……同じ公爵でもウチより家格が高い(領地も広い)ミシェランド公爵令嬢が落第点ギリギリ、金とコネで卒業して、王太子もポンコツ!

わたくしが城に入って阿保2人を支えながら国政に携わり城で姑の陰湿なイジメに耐え抜いて、ポンコツのしもの世話までするの?

賢い第二夫人が欲しいのは解るけどな…その先に私の幸せがあるはずないでしょ?

アイザック殿下…御世話になりました。今まで良くして下さってありがとう存じます。

お気持ちは嬉しく思いますが、あのお城は地獄ですわ。

初めて登城した5歳の頃、紅茶に毒が仕込んでありました。5歳の幼女を平気で殺そうとする魔窟に嫁ぎたくありません。

貴方アイザック様が王太子になり、国を豊かにしてください。

私は国を出ます!

留学先に自分の商会を作ってます、御殿も建ってます

公爵令嬢としての責務は我が公爵領の領民達に十分に還元しました。(※農地向上、河川の整備、医療に教育機関、温泉街に娯楽施設その他)

兄が2人いますから跡取りの事も気にしなくて済みます」


「マリーウェザー…僕は、君と初めて会ったときから君に恋してたんだ。

兄上の婚約者候補だとわかっていても諦めきれなかった。父上は私が首席で卒業したら王太子にするか考えると言っていたのだ」


「アイザック?!何だと!初耳だ!」


「兄上がその男爵令嬢にうつつを抜かしていることは、既に城のみんなが知ってます。

魅了にかけられてるとは知りませんでしたが…」


「何よ!私はそんな事してないわ!マリーウェザーが適当に嘘ついてるだけよ!

……って何?魔法陣が足元にっキャァァァ!」


無詠唱で解呪できるルーン文字の魔法陣を刻んだ。

出来るかな?と思ってやってみたら出来たわ

ルーン文字って、文字自体に力が宿ってるから出来ると思ったんだよな。


「……そなたはリサ?ウゲッ!?」

放心してたポンコツ王太子が目を覚ました。


男爵令嬢のリサ、その正体は40過ぎのババアだった…乙女ゲームはいくつになっても楽しんでいいと思うよ。

膝から崩れ落ちて項垂れてるけど、首も太くて二重になってる!うわぁ…ないわー


だが俺をハメたのは許せん!ちなみに俺は20代の社会人だ。

この世界観が乙女ゲームか小説か何かはわからんけど、悪役令嬢だったのかも分からんけど…


隣国にダンジョンがあるのは知ってるよ!


アイザックの初恋を利用して悪いと思うけど、背に腹は代えられない


「アイザック様…どうか私を助けて下さい。

こんなことになって、この国にいるのが辛いです(うるうる)」


「マリーウェザー!僕が君を守る!」


「アイザック様…ほとぼりが覚めるまで異国の地にいます。自分の商会を大きくするのが夢だったの。私はまだ10歳ですもの、5年後にまたお会いしとうございます。それまでにアイザック様に釣り合うだけの淑女になっておきますわ…5年後でもわたくしは15歳です

15歳まで好きに生きてみたいです…アイザック様どうか憐れな私にお慈悲を(うるうる)」


そう、10歳だけど身長164センチでもう大きいんだよな、胸もデカイし見た目はすぐにでも結婚出来そうな年頃の超絶可愛いお嬢さんだよ、俺が!


もちろん15歳になってもここに戻って来るつもりはない。隣国にも友達いるしな


男が好きそうな、あざと可愛い泣き落としでアイザックから慈悲をもぎ取った!チョロいぜ!


「マリーウェザー…君をずっと愛してる。

5年後にまた会おう、それまでに王太子として地盤を固めておくよ。

兄上…此度の失態は僕からも父上に報告します」


「本気かアイザック!私と敵対するのだな?!」


「マリーウェザーが、私の勝利の女神が微笑む限り私は兄上には負けません」


「マリーウェザー!そなたは私を裏切るのか!」

ポンコツ王太子が粘る


「婚約者でもないわたくしに婚約破棄を宣言したのはレオナルド殿下ですわ。

受け入れます!貴方様とは一生結婚したくないので、願ったり叶ったりですわ!では、ごきげんよう」


元担任の先輩講師がいつの間にか馬車を用意してくれていた。

急ぎ足でその場を後にして馬車に飛び乗った。


「先生…御世話になりました、こんな事になってすみません」


「大変な事になったねぇ…隣国に行っちゃうのかい?寂しくなるな。月末までいるかい?」


「すぐに旅の準備をします。

隣国の首都まで砂漠を超えなきゃ駄目なので、夏前には行きたいですね!

先生お元気で…お手紙書きます」


手紙が届くのに一月以上かかるけどな

茜色の空の下、馬車が走っていく


短くて長い、たくさんの思い出のある学校…5歳から10歳まで通ったから今生の人生の半分だな

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