第15話 『幽遊白書』Netflix 【ドラマ】

 ネットフリックスで実写版『幽遊白書』が公開された。あまり興味がないまま、たまにツイッター(X)に流れてくる情報をなんとなしに眺めていたけれど、つい興味本位で見てしまったのは、寝続けて暇を持て余してしまったのと、子供が珍しく昼寝でいなかったからだ。


 私の『幽遊白書』との出会いは、ジャンプ連載までさかのぼる。ほぼ初版本を漫画は買い集めていたので、リアル読者でもある。連載も追っていたけれど、これは住んでいた場所がアメリカだったので、一か月くらい遅れて数倍する値段でジャンプを買っていた。


 確か主人公が自分たちと同じ年齢だったことで、日本語補習校のクラスメイト達と回し読みもしていた。というか当時のアメリカは今のようにネットもなければ、ようやく新聞が一日遅れで届き、ラジオでNHK放送が聞けるようになった1990年台前半の話。


 娯楽に飢えていた中学生は、それぞれがアメリカまで持ち込んだ漫画をクラス中どころか学校中で回し読むのが通例だった。そこで出会った作品は、それこそ『ドラゴンボール』から『王家の紋章』、『BASARA』や『あさひゆめみし』、『アリーズ』、『パタリロ』、『シティーハンター』やらなんやら、今の漫画喫茶までとはいかないまでも、だいぶいろいろ読み漁っていた。


 そんなわけで『幽遊白書』は青春のバイブル並みに読み込み、アニメも見ていた作品である。なので30年近くたって今、実写化と言われてもピンとこなかったのだ。


 が、なかなかに評判がいい。とりあえず若い役者さんの名前もほぼ知らないという状況で、なんとなくメイキングのインタビュー動画を一本見て、ふぅん? と軽い気持ちで見てみた。


 第一印象は、子供と一緒に見れないなぁ、だ。よく考えればそりゃそうなのだが、不良の喧嘩シーンは血だらけだし、トラックにはねられる事故シーンは通常なら直接的表現を避けるだろうにばっちり描かれていて、さすがに漫画やアニメとは違うリアルさを追求していた。


 でも、幽助の葬式のシーンでやっぱり泣いた。特に子供を助けてもらえた母親が、幽助の母、温子さんに頭を下げる動作でぐっときてしまった。体を投げ出すように、倒れる勢いで頭を畳に打ち付けた姿。それだけで、ぼろっと来てしまったのだ。


 なんだかんだと改変は多い。魔界虫や左京が最初から出てきたり、時系列的には確かになとよく考えれば矛盾はないけれど、原作では同時進行では書かれなかった物語が、ドラマではちゃんと描かれていた。


 ぼたんは振袖ではなく甚平か作務衣のようないで立ちだし、オールにも乗らない。コエンマは大人姿のままだ。でもおしゃぶりはしている。よくちゃんとしゃべれるなと感心してしまったけれど、こう解釈したのかという意味で、それは確かに幽遊白書の世界になっていた。


 こうやって改めてみると、漫画、アニメ、実写とそれぞれが異なりつつも、なるほどなと。30年くらいの時を経て、改めて今『幽遊白書』がようやく実写として描くことが可能になったというアクション監督のセリフに納得感が出てきた。


 2.5次元と呼ばれる舞台は『弱虫ペダル』で知ったけれど、今回の『幽遊白書』の実写も、アニメ化した時にいろいろ物議をかもした制服の色も、意外とちゃんとありそうな色に落とし込まれていた。


 実は第1話の半分しか見ていないので(子供が起きてしまったので)、今後どうなるのか見ていこうと思っている。

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