第3話
1.
-ストラーヴァ帝国
「あ~あ~、めんどくせえなあ、何で俺がやんなきゃいけねーんだよ」
「頼む!そなたが最も強い転生者なのだ!当然ハーレムの為、あらゆる果てという果てまで捜し集めた美女たちを用意している……どうか我が帝国専属の聖騎士として、その
あらゆる華美を尽くすこの玉座に坐す皇帝も、この
「
『
ソイツは気怠そうに右手を玉座に向けて、六芒星の陣を出すと、その
「態々此処迄出向いてやって報酬が女ダァ?」
癖っ毛一本だらし無く跳ね上げた
2.
「あるじぃーやめなよぉ〜また一つ国ぶっ潰しちゃうよ〜?」
「俺の
ソイツはパーティで来ていた。全て上級魔法を扱う連中。
降臨は唐突に訪れる。場所はランダム、時期も無い。必ず神の力たる
頻繁に落ちて来る
死因も共通している。向こうの世界の科学を行使した運搬手段たる内燃機関の二輪駆動運搬車による轢死か、突発的な殺人か、自殺。ごく稀に持病による死もあるが、ともあれ悲惨な末路を負ってから此処へ来るのは全ての必要十分条件として存在する。
この国で、天界にその肉体のまま唯一往来出来るオフェーリア様が云うには、天界の神々は敢えてそれらの報われぬ霊魂を選んでこちらの世界へ転生させているという。何故そんな馬鹿げたことをするのか、俺達の世界と全く違う異世界の連中が来るということは、原住民の我々からすれば侵略そのものだ。
彼女も何度も何度も天界に戻ってそれを訴えてきたが、全く聞き入れられ無いのは当然として、当分帰って来るなと締め出されている状態だった。元の世界で碌なチャンスを与えられていない者達が、突然神の力を与えられて異世界に来たとて、招く結果は同じだ。裸の王が突然王冠と玉座を与えられても、その重みと意味を理解しなければ、単なる紛い物。
然し馬鹿な神々は、それを慈悲と呼ぶ。
「俺はスローライフ送りテェだけなんだよなぁ、いっつも威力弱めてもやり過ぎちまうだけだしなぁ。マァ、俺が強すぎるから、しょーがなーんだけどな」
「あるじ強すぎるからなぁ、だから前の国滅んじまったわけだし」
同じパーティに組む
そのわきに退屈そうに後頭部で手を廻して組んだ女。明らかにこの世界の理屈や仕来りはコイツ達には通じない。
3.
元々は男だった。心の中で人畜郷の嗜みである、電子上の
前世の名は判らないが、この美少女の姿を手に入れた今は、ジュスティーヌと名乗っている。正体を知っているからこそ気味の悪い名前だが、その美しさは、雄に生まれてしまった俺は、見た時に心を動かされてしまった程蟲惑的だった。帝国騎士団の更に上部に存在する
「そもそもおめーら戦争っての解ってんのか?」
皇帝を痙攣させておきながら、類は目を細めて、その玉座を仰ぎ見る
其々席を振られたその甲冑に刻みながら、傲慢不遜極まるどころか、最たる守護対象である皇帝を苦悶させる魔法をかけている類には、一切手を出すことはしなかった。皇帝は常にこのようなことを会見時に起ると予期して前もって聖騎士には手出し無用と厳命を下していた。
「こうやって甘いことやってると、死ぬぜ」
「はい、類様」
碧色の艶やかな下しきった長髪を靡かせて、色白の肌を晒しながら、第六席の聖騎士は云った。希望の
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