第9話 猟奇歌――あの人ならやりかねない。

「猟奇歌」夢野久作


もちろん夢野久作といったら「ドグラ・マグラ」でチャカポコチャカポコでキチガイ地獄でブゥゥーーン……なんですけど。


猟奇歌れふきうた」もいいですよ。

その名の通り、猟奇的なシーンばっかりを歌にしてます。



春の夜の電柱に

身を寄せて思ふ

人を殺した人のまごゝろ



「まごころ」って……それも一首や二首ではありません。

なんでこんなに大量につくってるんだよ、と思います。



自分より優れた者が

皆死ねばいゝにと思ひ

鏡を見てゐる



宇宙線がフンダンに来て

イラ/\と俺の心を

キチガヒにしかける



誰か一人

殺してみたいと思ふ時

君一人かい…………

………と友達が来る



何者か殺し度い気持ち

たゞひとり

アハ/\/\と高笑ひする



青空文庫に掲載されてるんですが、見てくださいよ、この量。


猟奇歌 夢野久作

https://www.aozora.gr.jp/cards/000096/files/933_22022.html



「まさか、あの人が殺人を犯すなんて……」ではなく、

「ああ、やっぱり。あの人ならやりかねないと思ってました」といわれるタイプですね。

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