第54話 初の恨み

「アソシエーション・スコーピオン」


アンタレスが呟くと、彼女たちの目の前に、巨大な蠍の幻影が現れた。


蠍は針をイレスに突き刺そうと、尻尾を伸ばす!


シュッッ


しかしイレスは素早く躱し、ビームを蠍に向けて撃った!



だがビームは蠍を通り抜けてしまった。

そして、大きくジャンプする!



「⁉︎…」


その後、蠍は尻尾が地面を潰すように、上空から乱れ刺しを繰り出してきた!


「(蠍の幻影はどんな攻撃も通用しないな。

しかし向こうの攻撃は、しっかりこちらに効いているように見える…スパイラルシールド!)」


ザンッッッッッッッッッッ


イレスは螺旋状のバリアを発生して、蠍の攻撃を防ぐ。



そして、手から黒い液体を垂らした。


「?…」


アンタレスは蠍に、イレスへ突っ込むよう指示する。



蠍は液体を周りに浸したイレスに向けてハサミでパンチした!



「………」

↑イレス




すると、蠍はイレスの前で消えてしまった!


「⁉︎…」

↑アンタレス


「お前、この液体がなんだかわかるか?」

↑イレス


「ブラックホールか…」


「その通り。触れた者は問答無用で吸い込まれる」



イレスは3人に向けて、液体を投げつける。


3人は冷静に後ろへ下がって回避した。



だが液体が棘のように変形し、アントニオの服の袖が消える!


棘の先に袖が触れたようだ。



「ひっ⁉︎…く、これじゃ近づく事すら無理だぞアンタレス!」


「いや、2人は逃げろ」


「は⁉︎」「え⁉︎」



「最後まで付き合ってくれて、ありがとう」


アンタレスは空間操作で、アントニオとロッシュを、家まで転送する。





しかし、遅かった。




ブシュッッッッッッッッ



「⁉︎…」


ロッシュの胸に穴が空く。


「…………は⁉︎」

「え、姉ちゃn」



「え…………?」



そして心臓が飛び出した。


それに一筋の光がぶつかり、破裂する!!


ブシャァァァァァァァ



血飛沫が周りの2人についた。



「逃すわけないだろ…」



イレスがそっと呟いた。


ロッシュは心臓が破壊されたまま、どこかへ転送されていく。


アンタレスが一瞬パニックになったため、転送位置が変わってしまったようだ。



「ロッシュ!!」

「姉ちゃん!!」


「!……………」


ズバンッッッッッッッ



アントニオも続いて転送される瞬間、視認できないほどの速度でイレスの巨大な手に叩かれ、気絶してしまった。


残ったアンタレスは、杖をイレスに向ける!




「アンタレスX‐1!!」


「ファイナルスパイラル!!」



ズドカァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァン



瞬間的に広範囲に放たれた光と、螺旋状の波動がお互いの攻撃を相殺した。



ズッッッッッッッッッ



ブシャァァァァァァァ




イレスがアンタレスの放つ光の熱に負け、燃え始める!


「(押されている…ここまで追い詰めたのに!)」



ボォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォ……


ブワァァァァッッッッッッッ





ズバァァァァァァァァァァァァン
























イレスは断末魔を叫ぶ暇も無く、消滅していった。




辺り一面、焼け野原となる。




アンタレスは思った。



「(初めてお前を恨んだよ)」

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