本編:クリスマス編

第33話 クリスマスと復活

アントニオとロッシュの家にアンタレスが入ってきてから2年が経過した。


アンタレス討伐組織アレース最上級の地位〝北斗七星〟の半数が壊滅し、組織の勢力が弱まってきたため、この2年は誰とも戦わずに過ごしてきたアンタレス。


7人いる北斗七星のうち、戦いで5人も幹部を失ったこの組織が勝てなければ、他に彼女に勝てる者はいるのだろうか?



アントニオは中学1年生になっている。今は部活にいる時間帯だろう。



「そろそろ帰ってくるのかぁ」


アンタレスはイスから立ち始め、背伸びをした。


「うーん、そろそろクリスマスかぁ。何も準備してないなぁ」



カレンダーを見てみると、なんともう12月23日ではないか。


「((((;゚Д゚)))))))…マジすか」




早速、彼女は倉庫からクリスマスツリーを持ってきた。


「プレゼントどうしようかなぁ…」


アンタレスが必死に考えていると、アントニオが帰ってきた。


「ただいま」

↑アントニオ


「おかえり」

↑アンタレス


「姉ちゃんは?」


「まだ散歩から帰ってきてないよ」


「そう、おっけ」


「勉強してきな」

「わかってるよ」


彼は2階へ行く。



↓アンタレス

「………ふぅ、今日も疲れた。もう2年か。ヤバいな。

最近はアレースなんて考えてこなかったけど、そろそろ復活しないかなぁ。

……まぁ私もわからん」






◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇


ドンッッッ



巨大な青い手が机を叩きつけ、爆音が鳴り響く。

その後、人よりも大きい指が机を叩き始めた。



赤い服を着た少年と、白色の三角形が散りばめられた紫色の羽織を着ている女性がお辞儀した。


4人が謝っているのは、紫色のローブを着た単眼の巨人だった。顔は隠れていてよく見えない。

そばには、幼い少女が2人いる。




「申し訳ございません、イレス様」


イレスと呼ばれた巨人は、指を少年に差し、静かに言った。


「アンタレスはどうした。奴はこの世で唯一の汚点。なぜ逮捕できない?

もう奴をこれ以上、野放しにしてはいけない。だからお前ら、生物兵器を雇ったのだ。

特にお前ら、組織内の階級で最上級の地位にも関わらず結果を残せない北斗七星。

私は誰1人、北斗七星のメンバーを忘れた事は無い。

特にお前、聖衣くろす 参太さんた。お前は期待の新人として雇ったはず。

なのになぜ、まだ奴を○せていない?この星は弱者しかいないのか。

我々 アレースは地球の平和を守るべく、奴と戦っている。仕事を舐めているのか?」


「すんません…」

↑聖衣



「すみません だろ!!」


「それは割とマジで今のは言い間違えました」




「今、先代の北斗七星がやられた場所はアンタレスによって空間を入れ替えられているため、発見が困難だが、ある程度予測はできている。

聖衣はそこへ向かえ。妖退 しのぶ、お前はここに残って警備だ」

↑イレス


「わかりました………」


女性の隣にいた聖衣は立ち上がると、部屋を出ていった。

女性も警備するため、辺りを徘徊し始める。




イレスも幼い少女2人を連れて、部屋を出ていった。



そして3人が、薄暗い廊下を歩き始める。今の時間は夜。


床は青いカーペットを敷かれており、いくつかある巨大な窓からは月が見えた。

ヨーロッパっぽい雰囲気だと思ってくれて結構。





↓イレス

「……里奈りな山奈やまな、お前らはここが好きか?」


「いきなりなんですか」

↑山奈


「お前らは今まであまりアンタレスと戦わせずにいた。

しかしお前らは、アンタレスと戦いたいか?」



「私は戦いたいですよッ。早くアンタレスと手合わせしたいッ」


里奈は、はしゃぎながら言った。一方、山奈は反対の事を言う。


「私は家でゲームしてたいです…」



「そうか。それで良いのだ」

「「??」」




イレスは窓の外を見ながら呟いた。


「アンタレスみたいな怪物の討伐なんかに人生を捧げさせて本当にすまない。

お前らも朝、外で遊んで…夜、ゲームで遊ぶ生活をしたいんだろう?

先代の者たちもそうだった。夢しか無かった。

だから皆んなを戦わせたくない。私がむしろ奴と戦いたい。しかし怖い。

結局、お前らに頼るしかないわけだ。すまない。

聖衣には日頃のストレスでつい当たってしまった。可哀想な事をした」


「「へぇ」」



「でも、皆んなで頑張るしかないのが最高に酷い」

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