第29話 約束事

ジュラシックツリーは根本から、そこら辺の木よりも太くて長い根を、アンタレスに向けて伸ばした!

速度が尋常じゃない!



シュルルルルルルルルルルルルルルルルルル


「マイ・ホットコア」


アンタレスは周囲の根を一瞬で焼き払った。

そして光の刃を発射!


「貴様の攻撃なんて、たかが知れている」


ツリーは巨大な体を根で動かして、なんと猛スピードで飛んでくる刃を全て避けたのだ!


「(その巨体だと、動き回られると私たちの存在が周囲にバレるんだよなぁ)」

↑アンタレス


ツリーに絡まった長いリボンが、彼女を薙ぎ払う!


このリボンは木をも容易く切断するほどの鋭さを誇るらしい。



アンタレスは自身の周りを回る斬撃で、迫り来るリボンの動きを遮ると共に、杖でビームを発射!!


ズバァァァァァァァァァァァァン



しかしツリーも目からビームを撃った!


そして相殺される。

その時の衝撃で、周りの木々が吹っ飛んだ。


ツリーはなんと斬撃をリボンで切り、分散させてアンタレスを囲むように伸ばす!

そして上からは巨大な根を隙間無く敷き詰めて伸ばし、彼女の逃げ場を無くした!


↓アンタレス

「さすが私と8年もやりやってきた歴戦の樹木だ。

他の奴らは皆んな敗北してるのに、お前だけまだ生き残ってるからな」


アンタレスの煽りに対して、何も言い返さずに、ただただ根とリボンの物量で攻撃するツリー。


「だが私にもができた。

その約束を守るためにも、お前をここで倒す。

ジオ・ストーム」


彼女は杖を地面に突き刺した。


すると、刺した箇所から赤いつむじ風が複数放たれ、根とリボンを弾き飛ばした!!


ブシャァァァァァァァァァァァァァァ



「くっ!……約束事か。お前にもできたんだな」

↑ツリー


「そうだよ」

↑アンタレス




「だが敵の約束事なんて、純粋にどうでも良い」


ツリーから葉がミサイルのように飛んでくる!


動きが不規則で予測困難な上に、速度も速い。

おまけに数も多いため、勘で避けようとしても難しい。


「(葉の刃を生成したわけか。でも葉には変わらない…)」


アンタレスはそう思いながら杖を振り回す!


「マイ・ホットコア…」

↑アンタレス



ブオワァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァン


彼女の周りの葉が一瞬で燃え、灰すら残る事無く消えた!



「(熱を自身の周りに発生させたか。

初見の技だ…2年前の戦闘では見なかった)」

↑ツリー


彼はアンタレスに向けて根を伸ばして攻撃し続ける。


根から蔓が生え、移動できる場所を制限させた。


しかしアンタレスはそれら全てを消し飛ばす。



↓ツリー

「(私だって約束事があるし、あったんだ。

こんな奴のために時間を使っている暇があるなら、すぐに家へ帰りたい)」


幹についた大量の目からビームを放ち、アンタレスを迎撃しようとするツリー。


しかしワープと高速移動で、全て避けられた!


↓ツリー

「(だが、家族を養うためにも金は必要。

そのために私はこの組織で働いている。

でも命をかけてまで、金を得るのが目的ではない。

息子の安全と未来を守るため、アンタレスを倒す事だ。私が働く意味はそれだけだ!)」



ツリーの頂上についた星から熱波を放出し、アンタレスを林ごと焼く。


アンタレスは光の刃を発射して、星を砕いた!


ズバァァァァァァァァァァァァン



↓ツリー

「(それでも…息子の未来のためだからと言って、私は命と時間をかけすぎた。

もう少し、未来だけでなく、現実を見るべきだったのかもしれん)」


彼はアンタレスに向けて、目から電気のアームを伸ばして、彼女の杖を奪い取る。


「⁉︎…成長したな」



アンタレスは余裕そうに呟きながら、指からビームを撃った!


ブシャァァァァァァァ



杖がツリーの腕ごと吹っ飛び、アンタレスの手に入る。


↓ツリー

「(私は未来が怖くて怖くて仕方が無かったのかもしれない。

だから息子の誕生日も、クリスマスも、家にいる事ができなかった。

ずっとこの怪物を追って、戦って、負けて、逃げてきた。

この怪物さえいなければ、私は息子ともっと、充実した日々を過ごせたんだ。

だから、今日ここで、こいつとの戦いを終わらす!

終わったら、私は息子との日々を、この世で1番楽しむ者となるだろう…)」

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