第16話 夢

アントニオは激怒が乗っている竜の下へやって来た。




そして、なんと自分自身を巨大化させる!

その大きさは、この激怒が乗っている竜を余裕で超えるほど。



「⁉︎…こいつ、まだいたのか」


激怒は錫杖から電気の弾を発射するが、アントニオには効果が無い!


そして、激怒は彼に掴まれてしまった!

同時に乗っていた竜が消滅する。



「ぐっ、離せ!」

「やだね」


ブシャァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ



激怒は握り潰された。

その時の衝撃で、胃の中にいた現実と書かれたお面を被っている、現実くん本体が吹っ飛ぶ!



「ひゃァァァァァァァァァ⁉︎⁉︎」

↑本体


ネズミ並みの小ささを誇る本体を、アントニオは上手く、キャッチした。


「ひィィィィィィ!」


「ふっ、俺の勝ちだね」

↑アントニオ


「やだァァァァァァァァァ、まだ○にたくなァァァァァい!」


「さらばd」

「お前が潰されろ!」


「ハァ?」



ズドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドド





突然、本体がアントニオを上回るほど巨大化した!


「え……」

↑アントニオ


「さらばだ」

↑本体


お面の文字がに変わった本体は、アントニオを握り潰そうとする!

そして、口の中でエネルギーを溜めた。


「⁉︎…」

「○ねェェェェェェェ!!!」


エネルギーの弾が、目の前のアントニオの顔に放出される!






その直前、大量の小さな光の刃が本体の頬に命中し、エネルギー弾の軌道をずらした!!

おそらくあの光の刃は、アンタレスのものであろう。


軌道がずれた弾は、アントニオに命中する事無く、彼方遠くの空で爆散する。

その時の風は、顔の形が歪むほどの衝撃。


本体は怖気つくと、逃げた。




「!……貴様ァァァァァァァァァァァ!」

↑アントニオ


「(⁉︎……俺?)」

↑本体


「逃げるなァァァァァァァァァァァァァァァァァァ!!!

夢が、逃げるなァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ!!」



「(夢だって逃げたいんだよぉぉ!)」



倒壊した家を踏みながら、本体は逃げていく。

アントニオは巨大な鍋を投げた!


ブンッッッッッ


シュルルルルルルルルルルルルルルルルルル…





ブシャァァァァァァァ



見事、鍋で本体の心臓を撃ち抜いた!


↓アントニオ

「よっしゃぁ!俺らの勝ちィィィィィィ!!」







「ぐぬぬぬぬぬ……まだ」


しかし本体は、まだ動いている。消滅する気配は無い。


「ハァ⁉︎⁉︎⁉︎…え、心臓を破壊したじゃねーかよ!!」


心臓が破壊され、内臓が剥き出しの本体が、アントニオをぶん殴ろうと拳を振るった!


アントニオも手を握り締める。




「いつもいつも、俺らに嘘をつく現実は嫌いだ。

うぉォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォ!!」


「うるさい。黙れェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェーー!!」



両者の拳がぶつかり合った!衝撃で地面に亀裂が入る。



本体はアントニオの胸の部分を殴り込めていた。

しかしアントニオは違う。




「そこにいるんだろ貴様現実ァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ!」


本体の夢のお面を殴っていた!ついには破壊され、豆粒のように小さい本体が飛び出てくる!



豆粒並みの小ささを誇る本体は、現実のお面を被っていた。



「ふぁ⁉︎⁉︎ば、バレt」


「おりゃァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ!!!!」





ブシャァァァァァァァァァ……



本体はアントニオに体ごと吹き飛ばされ、心臓を破壊された。


「ぐふぉぉ⁉︎⁉︎」







そして、空中で消滅……。

それと同時に、夢や悲、悲の竜たちが塵のように消えていく。



ロッシュは、目の前で悲の分裂体が消えていくのを確認すると、ため息をした。



「ふぅ………やっと終わった」





◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇







まだ月が高い所にある時間帯に、妖退と品本は静かな住宅街でアンタレスを探していた。


そして、彼が驚く。



「現実くんが、やられた⁉︎」

「え、現実様が⁉︎」


妖退が持つ空間操作能力は、情報を空間操作によって、無線で受け取る事ができるようだ。


足を止め、彼は頭を下げる。品本も、俯いた。



「現実様、今年のクリスマスは新しいパソコンが欲しいと おっしゃいたのに…」


「ハァ…鋭糸と現実くん、続けて2人も…。

早くを倒さないとな」



2人はとぼとぼと歩き始める。





品本が、話を変えようと、別の話題を振ってきた。


「そういえば、そろそろ妖退様の誕生日ですよね?

何か欲しいものでもありますか?」


「え、なんかくれるの⁉︎」


「はい。常日頃お世話になっていますので」



「へぇぇぇーー⁉︎やったァァァァァァァァァァァァァ!

プレゼント!あそーれプレゼント!」


妖退はその場で踊り始めた。



↓品本

「…やっぱムカつくから あげない」


「すみませんでした。

んー、じゃあ、屋台のラーメンを奢ってほしいな。それが誕生日プレゼントね」

↑妖退


「え、そんなので良いんですか⁉︎」



「うん……あ、あのラーメン屋ね」




2人は目の前にあった屋台の席に座る。

妖退が「いつもの」と頼んだ。すると店主がラーメンを出す。


「これを奢ってほしい。一杯100円だからさ」


「本当にこれで、よろしいのですか?」

「うん」



妖退はラーメンを啜り始める。品本は不思議そうに彼を見ていた。


「ん?どした?」

↑妖退


「妖退様は、ラーメンがお好きだったのですね。

でもそれなら、もっと高い奴にすれば良いのに…」

↑品本


「いや、これが1番良いんだよ」

「?」





「屋台って、壁が無いから外に剥き出しでしょ?

夜は星の怪物が彷徨く時間帯だからさ、すごく危険じゃん。

でも、俺みたいな客のために、何時間も何時間も、夜 ラーメンや おでん を作り続けてくれる。

俺は、そんな屋台をやっている人たちも含めて、地球を星の怪物から守りたいんだ」


「へぇ」








「だから、一緒に頑張ろ。星の怪物を倒すために」


妖退は笑った。彼の笑顔は久しぶりだと品本は思った。





「はい」






















↓妖退

「でもやっぱ、冬の屋台は寒いよぉ。壁つけようよ店主」


「屋台じゃないってそれは…」

↑店主


「つけたら意味無いじゃないですか!」

↑品本

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