第6話 アンドロイド

ロッシュが後始末をし、アンタレスは申し訳なさそうにイスに座っていた。


「……あなたに家事を任せるのはやめておきますね」

「すまん本当に」



「おや、そろそろ昼ご飯ですね。簡単にハンバーガーでも食べましょうか」


ロッシュが戸棚から2つの小さなハンバーガーを出した。

アンタレスが受け取ると、彼女もイスに座る。



アンタレスがハンバーガーのレタスを食べながらロッシュに尋ねた。


「どうしてアントニオは父親を○したんだい?」


「あぁ、それはですね、自身がアンドロイドだったのがショックだったかららしいんですよ」

「え?」



「実は私とアントニオは父が作ったアンドロイドなんです。

父は2人の子供がいた科学者でしたが、自身が行った実験によって、2人の子供を亡くしてしまったんです。

そんな父が、研究に研究を重ねて作り出したのが、その2人を模したアンドロイド…今の私とアントニオなんですよ」


「へぇ」



「母も子供を生むと同時に亡くなったらしいですが、父が転生させる事に成功したらしいです。

しかし、前世の記憶を残っておらず、すぐに逃亡してしまったんですよ…それを探してたら、あなたと出会ったのです。

2人の子供を失ってしまったのもその転生の実験と聞きました」


「ほぉ」



ロッシュの口が止まった。


「(消化に悪いぞ)」

↑アンタレス


「まぁ、今はアンタレスさんとアントニオがいますし、寂しくはないですよ!」

↑ロッシュ


「そうか」



ハンバーグを齧って、アンタレスが頷く。


「なら良かった。親に依存しすぎると後が怖いからな。

少し物足りなかった方が良いかもしれない」


「そうですか」
















なんか気まずくなった。


「あ、アントニオの成績って良いのか?」


さすがに星の怪物も苦しくなったようで、アンタレスがロッシュに尋ねる。


「うーん、下の下ですね」

「え」


「はい、ただアンドロイドなので、物理的な強さは上の上ですよ」


「学校はそれ関係無いんだよなぁ……」



◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇



噂をされていたアントニオは、学校の教室で、絵を描いていた。

昼休みらしい。部屋の中では生徒たちで賑やかだ。


「(早く料理したい……)」



「ねぇ、君」


突然、左目が髪で隠れている男子に話しかけられた。

今まで見た事の無い顔だ。アントニオは尋ねる。


「誰?見ない顔だけど」


「ん、それはトイレで話そうよ。さぁ早く」

「連れション?」









2人は、誰もいない多目的トイレに入った。


「…なんで多目的トイレに?」

↑アントニオ


「…それはね」

↑男子


左目が髪で隠れている男子は悠長に話す。



「妖退家 第3758代弟子、中川なかがわ 鋭糸えいとだ。

お前、墨田区在住だな?」


アントニオは答えた。


「そうだけど?」


「なら話は早い。

そちらにアンタレスという犯罪者が逃げたらしい。何か知っている事は無いか?」


「(アンタレス…?)」


アントニオの顔が変わった事を、鋭糸は見逃さなかった。



「何か知っていそうだな」


「し、知らねぇよ!」


「ほう、だがこれは星の安全のためだ。

力ずくでも情報を奪ってやるさ」


鋭糸は腰から刀を抜いて、アントニオへ向ける。



その刀の先端から、糸が発射されたッ!




スポッ


アントニオの首が突然落ちる…。


「⁉︎」


「俺は糸操作能力スレシャットを持っているのさ。

糸を鋭くさせ、お前の首を落とした」

↑鋭糸


「へぇ」



アントニオの落ちた首が消え、代わりに彼の体から彼の頭が生えてきた。


「⁉︎…は、生えた⁉︎」


↓アントニオ

「俺はアンドロイドだから、俺を倒すには心臓を破壊しなきゃならないんだよ。

どこを攻撃しても無駄」


「く、クソぉぉ!」


鋭糸は刀を彼に向かって振る!


しかしアントニオに手刀で刀を折られてしまった!



「は⁉︎⁉︎」

「俺はアンドロイドだから人間に負けるわけないだろ」


「チッ」



今度は鋭糸は指から糸を放つ!

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