第6話 親の反対

 29エリアで、みんながアウレールを英雄視する。しかし彼の両親は、息子の行いを嘆く。父親がアウレールに言う。

 「何をしているんだ。私はお前をそのような子に育てた覚えはないぞ。」「お父さんは俺を褒めてくれないの。みんなを守ったのに・・・」

 「人を殺しておいて何とも思わないのか。」「あいつらは敵だ。みんなを殺しに来たんだぞ。」

アウレールは家を飛び出す。アウレールと父親との言い争いを聞いていたクリスタが自分の家から飛び出してくる。

 「アウレールどこに行くの。」「自警団に行くんだよ。」

 「また、ロボットに乗るつもり。」「あれは俺しか動かせないんだ。当然だろ。」

 「やめて、人殺しよ。」「クリスタまでお父さんと同じことを言うんだ。」

 「心配なのよ。」「俺は自警団に行く。止めても無駄だよ。」

 「私もついて行くわ。」「家にいろよ。親が心配するぞ。」

 「私の勝手でしょ。」

アウレールとクリスタは、暗くなってきている道を歩いて自警団の事務所へ行く。

 ブルーノは、2人の顔を見ると渋い顔をして自警団員に言う。

 「外が暗くなってきたから、こいつらを家まで連れて行ってやれ。」「兄貴、俺は家を出てきたんだ帰らないぞ。」

 「アウレールにはロボットのパイロットをしてもらわなければならないんだ。今日は帰れ。」「今からロボットの操縦訓練をするよ。」

 「もう夜だ。へリングさんとランセルさんが心配する。」

自警団員がブルーノに言う。

 「へリングさんとランセルさんが来ました。」「通してくれ。」

アウレールの父親のアルノルト・へリングとクリスタの父親のクラウス・ランセルが事務所に入って来る。アルノルトはブルーノに言う。

 「息子をロボットに乗せる気か。」「はい、ロボットを動かせるのはアウレールしかいません。」

 「息子を人殺しなどにさせないぞ。」「アルノルト、お願いします。」

 「だめだ。」「軍は、今度本気で攻めてくる。アウレールの力が必要なんです。」

 「息子は連れて帰る。」「アウレールがいないとエリアの人々が殺されますよ。」

 「・・・今日は遅い、明日にしてくれ。」「分かりました。」

アルノルトとクラウスは、アウレールとクリスタを連れて帰る。翌朝、ブルーノはアウレールの家を訪れる。

 「アルノルト、お願いがあるんだ。」「息子のことだろ。」

 「俺もできれば戦闘に巻き込みたくないがアウレールが必要なんだ。」「ブルーノは息子が死んでもいいのか。」

 「俺たちがサポートする。あのロボットはフレイムランド製なんだガントとはものが違う。」「だからと言って危険なのは変わりないだろう。」

 「このエリアを守るためなんだ。」「子供に守らせるのか。」

 「情けない話だが、アウレールに頼むしかない。」「あのバカ息子は、やる気になっている。守ってやってくれ。」

 「アルノルト、ありがとう。」

ブルーノはアルノルトに頭を下げる。アウレールが出てくる。彼の顔は腫れあがっている。アルノルトが言う。

 「昨日、あまりにも聞き分けが無いんで手が出てしまったよ。」

 「兄貴、俺は絶対ロボットに乗るからな。」「ああ、代わりに俺たちの言うことを聞くんだぞ。」

 「約束するよ。」

アウレールは13歳で自警団に入ることになる。

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