第6話 「できる仕事」が嫌いになった

私はIT業界で働いている。四半世紀もこの業界で働いている事に最近気づいた。


自分の周りには「好きでIT業界に入りました」という方が多く、少し年上の方だと「これから伸びるのはITだろうと思った」という方もいれば、同年代だと「小学生の頃パソコンを買ってもらい家でプログラミングしていた」など、好きが高じてという方もいる。


私はというと、就職の時期は「超氷河期」といわれる時代だったのと、元々小さい頃から流されて生きてきたタイプだったので憧れの職業という物がなく、とりあえず募集している物で、という感じで就職したのだ。


IT業界では「2000年問題」という今となってはちょっと笑える問題があり、「超氷河期」ではあったがIT業界の募集だけは沢山あったのだ。「興味なくは無い」程度ではあったが無理やり志望動機を考え、なんとか就職活動していた事を覚えている。


そんなやる気の薄いIT業界であったが性格的にはあっていたようで、若い頃は「ザ・社畜」として働いていた。深夜残業・休日出勤は常態化していて、ほんとについ5年くらい前までは、全然普通に社畜な感じで働けていたのである。


しかし最近になって一気に毛嫌いモードになってきた。やる気はどんどん薄れ、いつ辞めようかばかり考えている。昔は想像も出来なかった働かないおじさんの気持ちが分かってきた。


若い頃は働く事は好きなほうで「生涯現役」だと思っていたし、周りにもそう言っていた。「働きマン」というマンガにえらく共感していたのも懐かしい。


何でこんなに一気に冷めてしまったのか自分なりに考えてみたが、やはりIT業界は性格的にはあっていたけど好きな事では無かったのが原因だと思う。

好きな事を仕事に出来る人なんて限られているので、自分は損をしたとは思わないが

ある日突然、花粉症を発症するように、「この仕事辞めたいモード」になってしまったんだと思う。


辞めたとてその先どうするかを考えなくてはならないので、悶々としながら続けてはいる。「明日でシステムエンジニア卒業です」という日を夢見て。


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