とある大学生の焦燥と葛藤。現実がまざまざと描かれる

「自分には何もない」、「いやそんなはずはない」と若者ゆえの葛藤のようなものに悩まされる主人公(もしくは筆者?)の思考が読み取れる一作。
 内容は少々内向き。しかし、人間らしさ(特に滑稽さや浅ましさ)が忠実に記録された日記には、この時代における若者たちの代弁のような言葉が羅列されている。それはきっと、生きていれば必ずどこかでぶつかる疑問の数々。「自分って一体、なんだろう?」そんなことを改めて考えさせられました。

 学生、社会人、他のどんな立場においても、同じような悩みを抱えている人が、必ずどこかにいるはず……。誰の胸にも迫る作品だと思います。