第14話 怒られる?

 懐かしい記憶が蘇ってきた。そうだ、結局最後まで全然金属鉱石が出なかったんだ。一ヶ月ちょいやってなかったから完全に忘れてた。


ちなみに家を出る一ヶ月くらい前に目を凝らしてみれば違いがわかる様にはなった。ぱっと見は全然分からないけど。


よし、まあ20個取れたことですし帰りますか、ってことにはならないんだよね。


この荷車をいっぱいにしないと。少なくとも金属鉱石、望むなら珍しい鉱石も欲しいからね。てなわけで、やってくどー!



 ひとしきり鉱石を掘り終えて、外に出てみると既に暗くなっていた。月っぽいものも今日は二つ出ている。夢中になって、気づけばこんな時間になっちゃってた。掘った鉱石は限界まで乗せたけど、まだ乗りきっていないものも沢山ある。それは全て石なんだけどね。


成果は石がたくさんと金属鉱石が34個、ストレンジミスリルが1個だった。ほんと確率渋いなぁ。お父さんとかもっとばかすか金属鉱石取っていた気がするけど。


ひっくり返さない様に慎重にゴロゴロ荷車を引きながら夜の山を下った。整備されているとはいえ、アスファルトが引かれている訳じゃないからどうしても不安定。


しばらくすると街の明かりが見えてきて一安心、道中魔物に出会うことなくたどり着けた。もし出会ったらピッケルで戦うか、全力で逃げるかだった。早めにナイフでも買っておこう。私でも使えそうな武器を。


やっぱり冒険者が多いからか夜も賑やかだなぁ。変に酔っ払った輩に絡まれなきゃいいけど。ま、取り敢えずクエストの精算に行きますか。今は夜の9時前だからまだ間に合うね。


てなわけでギルドの前に荷車を置いて、ギルドの門を開けた瞬間、


「リターさん!」


ギョッとして大声のした方を見ると、そこには朝の受付のお姉さんが作業の手を止めて、こちらに向かってずかずかと歩いてきていた。


あれ、私もしかして怒られる?

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