私なんかがレビュー書いて良いのかなって。

昔見たドラマだったか読んだ小説だったか覚えてないのですが、あえて『何もしない』ことによって、そのものの良さを伝える、みたいなシーンがあったんですよ。なんていうか、美術鑑賞を趣味にしている人が、普段は作品について解説やら感想やらを良くしゃべるんだけど、その絵画の前では何もしゃべらなくなる、みたいな。

だからね、私もいっそ、レビューとか書かない方が良いのかなとか、一瞬思い詰めましたね。あんなにレビューだなんだってギャーギャー騒いでるレビューおばさんがあえて書かない、これはすごい作品だぞ、みたいな。

でもそれをするには、私はそれこそ年間で四桁のレビューを書くくらいの人になってないと意味ねぇなと思ってやめました。そんな大層な私ではない。

ただ、レビューをためらったのは本当ですね。私のようなものに何が紹介出来るものかと。なんか、汚してしまうようで。

そもそもこちらの作者様の作品は、どれもこれもずっしりとしたハードカバーで、それももちろん、箔押しっていうんですかね、めちゃくちゃ凝った感じのやつで、図書館の奥の方にあって、夜になるとじんわり発光したりして、手に取るとその世界に入り込んじゃうみたいな、そういう映画のやつみたいな雰囲気があるんですよね。そんな完成された作品に私のようなただガヤガヤうるさいだけのおばさんが何を書けるか、っていう。

ついいつもの馬鹿丸出しみたいなコメントも控えてしっとり読んでしまいます。

内容については他の方の素晴らしいレビューを見ていただいた方が良いです。
とにかくヒロインであるセレンの聡明で、気高く、美しい。異世界ファンタジーでよく見る『聖女』とはまた違う『聖女』を感じますね。ジャンヌダルクというか、そういう方の。魔法が出て来るファンタジーではないですが、そういう派手さにごまかされない読み応えのあるお話です。

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