第8話 この世の果て

故郷に戻れたのは、一ヶ月も経った頃。

運送会社の同級生が物資を運ぶトラックに

載せてくれる事になったの。


家族が見つかったら、こっちへおいで。

家は見つけるからと親友は言ってくれた。


長い道のりを越えて、私は故郷に着いた。


ここはどこ?

知らない!こんなところは私のいた場所じゃない!!


あちこちの避難所やら回ったけれど、どこにも誰もいなかった。

安置所にも行ったわ。

あちこちね。


運送会社の同級生は疲れ果てている私をトラックで寝かせてくれた。

あの時の夜空の星は憎らしいくらいに輝いていたのだけ覚えている。


遺骨の安置所でやっと、夫の物だけを

見つけた。

夫は小学校の子供達と一緒だったって聞いた。

彼らしい。

きっと最後まで子供達を助けようとしたのね。


私の娘、父さん、母さん、じいちゃん、ばあちゃんは見つからなかった。

逃げられなかったのね。


ごめんなさい、私がいたら、違ってたよね。

きっとそうだよね。

私が同窓会なんて行かなければ良かったんだ。

浮かれて、罰が当たったんだね。


みんなで住んでた家の跡は瓦礫だけ。

思い出のひとつも遺してくれなかった。


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