第26話 第一王子視点4 伯爵領の動きが怪しいとの報に俺は慌てて騎士団とともに向かいました

俺の意向を無視した婚約者選定会が開かれた。


が、その中で早速、自分の弟子をフランに叩き潰された剣聖は切れてしまったのだ。

そして、フランを限度を超えて叩き潰そうとしたのだ。

しかし、逆に本気になったフランの破れかぶれの一撃に剣聖はあっさりと撃沈してしまった。


その推薦者の侯爵令嬢も謹慎処分を食らって、いきなり辞退に追い込まれた。



俺としては、このままうまく、全員を辞退に持ち込めればと期待したのだが、ほかは中々うまくいかなかった。


教会推薦のローズなんかは、何故か会う度に俺にベタベタくっついて来るのだが、教会は何を教えているんだと俺は文句を言いたかった。


実際に枢機卿にも文句を言ったのだが、

「何分平民出身でして、貴族の礼儀作法はまだまだの面もありますので、多少の事は目を瞑っていただけないでしょうか?」

と言われたのだが、


「あれは平民貴族関係ないだろう。平民でもあんなにベタベタしないぞ」

俺は枢機卿に注意させるように言ったのだが。ローズは全然直してこなかった。


その度にフランの機嫌が悪くなるのはなんとかしてほしかった。



それでなくてもフランの機嫌を取るのが大変なのだ。


フランとしてもフェリシーの礼儀作法にはいい加減に参っているみたいで、食事時の礼儀作法の授業のせいでほとんど食事が取れないみたいだった。


「もう帰る」

と涙目に言われたときにはどうしようと呆然とした。


それをなだめるために、必死に毎夜、フランの部屋にお菓子を持っていく羽目になったのだ。


まあ、フランに会えるから良いのだけれど。


俺としてはこんな選定会をすっ飛ばして、さっさとフランを婚約者にしたかった。


でも、待てよ。


こんな礼儀作法に煩く言われるのならば、俺の婚約者になるのは嫌だとフランは言い出しかねなかった。


そうなれば終わりだ。俺は更に危機感を煽られた。


もっとお菓子で釣る必要があるだろうと俺は侍女たちを総動員して王都の美味しい店のお菓子を集めさせたのだ。


そんな中、フランがお化け退治がしたいと言い出して、俺は一にも二にも無く頷いたのだ。


お化け退治を悦んでしてくれれば言うことはない。俺は王宮のお化けの噂に感謝した。


もっと多く、お化け騒動を作り出せばフランももっと喜んでくれるかもしれない。


俺は過去の文献や噂をもっと調べさせることにしたのだ。



その今回のお化け騒動の中で、何と候補者の一人、メラニー・バローへの誘拐未遂も未然に防ぐ事になったのだ。それはそれでフランのお手柄だったのだが、何故かフェリシーの怒りを買ってしまって

、フランは補講が増えていたのだが……


こんなので本当にフランが選ばれるのか?


俺はとても不安になってきた。


そんな中、エルグラン王国の始まりの地、ファリエール伯爵領で、最後の研修が行われることになった。

俺も本来ならば参加したかったのだが、フラン擁立に他の貴族の賛同を得るのに俺は精力的に動いていて、参加できなかったのだ。



そんな中だ。騎士団のダンベールが変なことを言ってきたのだ。


メラニー嬢の誘拐未遂犯だが、最終目的はフランだったというのだ。


「それは本当なのか」

俺は伝言を伝えに来たリシャールに再度確認したのだ。


「なんか信じられないんだけど、事実だそうだ。なんでも、メラニー嬢を人質にフラン嬢を連れ出す計画だったらしい。まあ、俺も剣聖を一撃の元沈めたフランを狙うなんて正気の沙汰とは思えなかったんだが、犯人らはそんな事は知らないからな」

リシャールが言うのだ。


「近衛はフランの実力を知らないのか?」

「そいつは、剣聖が倒されたときにはその場にいなかったらしい。ダンベールから聞いて泡拭いていたそうだ。それとダンベールが言うには奴らの黒幕は誰かはわからないという話だが、伯爵クラスの人間であることは間違いないらしい。一度その元騎士が後ろ姿だけ見たそうだ。その時に伯爵と呼ばれていたそうだ」

リシャールは言ってくれるが、伯爵と一概に言っても数は多いのだ。


「伯爵と言っても50家はあるぞ」

「ただ、その当時、王宮にいた伯爵は10人もいなかったらしい」

「全員のリストはあるのか」

俺はリシャールにそのリストを見せてもらった。


「おい、これは大体が大臣関係者だぞ」

俺はリストを見ていった。社交シーズンでもないので、その時は伯爵の多くは領地に帰っていたのだ。


「それと、これは噂なんだそうだが、ファリエール伯爵領で最近人攫いが横行していると商人たちが言っているんだが」

リシャールが変なことを言ってきた。人攫いが多いのならば、それは騎士団の仕事で、俺のもとにも上がってくるはずなのだ。


「ファリエール伯爵領でか。そんな報告は上がっていないが」

俺はなんか不吉な予感がした。


「男にそのリストにある全員分の伯爵の姿絵を見させろ。特定できるかもしれない」

「判った」

リシャールは慌てて出ていった。


「ジルベール、ファリエール伯爵領でなにか変な動きや噂がないかすぐに調べろ。人攫いの噂の元もさぐれ」

「すぐにやる」

ジルベールも慌てて俺の部屋から出ていった。

俺はとても不吉な胸騒ぎがしたのだ。


そして、3時間後、俺は中央騎士団の騎士たちとともにファリエール伯爵領馬を飛ばすことになったのだ。

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ここまで読んで頂いて有難うございます。

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