第3章 ディス奪還編

第11話 煩悩とドンヨク

少し休息を取った後、セツナと秋は作戦を立てる。



『ジン、あいつは神様ではないけど神のご加護って奴を受けてるからチート級に強いって言ってたな...。』


『あぁ。あいつの放つオーラは強い者の放つオーラだ。正直今の秋では勝つ事は出来ない。バリアンと同等の殺気すら感じた。』



セツナは断言する。


『俺に今足りない物は能力の発現のスピードと、能力のバリエーションが少なすぎる所か...。』



秋も自分に足りない能力を少しでも補填したくどうすればいいのか考える。


セツナはそんな秋にある策を提案する。



『秋、私に策がある。だが、魂の消費も伴う危険な賭けだ。どうだ?』



『セツナ、その策を教えてくれ。俺はディスを助けたい。なんだってやるよ。』



秋は真っ直ぐな目でセツナに話す。


『分かった。そしたら今、私が能力であるパチンコを出現させる。その台で大当たりが引ければ、私の能力“ドンヨク”を秋にも使える様に出来る。“ドンヨク”は補助能力で発現条件は、『煩悩が脳内思考を90%締める事』

秋には打ってつけの能力だ。“ドンヨク”発現後、10秒内にヘソに球を入れると、他の能力を発現できる。だが、秋は煩悩に支配されると球の入賞精度が悪くなる。その弱点を克服していこう。“ドンヨク”後の条件クリア後、基本的には発現できる能力は一つだが、秋は二つ能力の発現ができる。特別な能力であるし誇っていいと思うぞ。

今日の鍛錬では、“ドンヨク”の習得、習得後秋の能力の発現2つ同時発現、ここまで出来る様に仕上げる。』



秋はその説明を聞き、セツナもレベル的には神様に近いのかなと感じた。

さっきまでは俺の発言に照れたりなんだりしてた子はこの世界最強の女剣士として、激アツ演出に指定されている理由が少し分かった気がした。


『セツナサンキューな。俺、お前の能力まで受け継げるなんて嬉しいよ。さすがこの世界最強の女剣士セツナ様!』



秋はセツナに感謝を伝えるが、当のセツナはまた照れてしまい顔を赤らめる。


『い、良いんだよ///私も、恩人のディスを助けたい。力になれる事ならなんだってやるさ。そうと決まれば台を出すから、少し待っててくれ。』



セツナは立ち上がり、呪文を唱える。



『“マイホマイホマイホルコンテンチョウスイッチバクハシロ”』


とんでもない呪文を唱えているセツナに秋は苦笑いするしかない。


※テンチョウスイッチは都市伝説です!





唱え終わると、部屋の中に台が出て来た。


見覚えのある台に、秋はセツナに機種のスペックを念の為尋ねる。



『この台は秋の念から排出した台だよ。

スペックは...通常確率1/319、大当たり終了後

確変突入率60%、確変非突入時は時短100回付き。継続率は時短での引き戻し含めて約75%、確変中に時短を引いた場合も100回転の時短付き。出玉は10R確変1500発が50%、10R時短1500発が50%。タイトルは...“山男どすこいストーリー”。』



『あぁ、この台俺昔やってたわ。』



秋は、やはりこの台か...と少し苦虫を噛む。


どすこいストーリーは時短ばかり引くので、

正直得意な台ではない。



念にもそれが出ていると言う事は余程苦手なんだろうなあと実感。





『苦手な台だからこそ、鍛錬は欠かさず行う物だぞ。大丈夫、秋ならやれる。私に勝った

のだ胸を張るのだ。』



セツナは秋を鼓舞する。


そして、ディスを取り戻すべく秋の鍛錬が今、始まるのであった。

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