無性愛とは?

 アセクシャルともいいます。他者に対して性的な欲求を抱くことが少ないか、全くない人のことをいいます。なお私はアラサーですが、一度も恋をしたことがありません。


 という風に書いてしまうとさぞかし悩み多い思春期を過ごしたのでは、と思われる方もいるかもしれません。が、私はそんな悩みとは無縁でした。なぜなら、父方の祖父の妹、父の姉と二代続けて独身の女がいるので、「恋とか別にする必要ないだろ!」「私も一生独身だったらウケるやろな~」とごく小さい時から思っていたからです。大叔母と誕生日が同じということも、私の思い付きの後押しをしました。そして、父方の身内からはそういった圧力を受けることもありませんでした。


 中学生の頃。周りの子がアイドルにキャーキャー言う中、私は読書に熱中していました。中三の時には「羊たちの沈黙」をはじめとするレクター博士のシリーズにハマり、それから高校を卒業するまで人肉の味や食人文化について、主に授業中に思考を巡らせていました。あと中学生の頃にハマった本といえば、大河少女小説「流血女神伝」です。他に、桜庭一樹先生の「砂糖菓子の弾丸は撃ちぬけない」や「私の男」にも感銘を受けました。


 とはいえ周囲から何も言われなかったかといえばそうではなく、母親からは「恋をしないなんておかしい」や「恋をして」と言われたりもしました。が、「だったら恋してやるから、恋に費やす時間の分の金を払え」と要求したら溜息を吐いて、以降何も言わなくなりました。自分は結婚で失敗した(常々私や弟に、「お父さんと結婚したことが人生最大の失敗」と言っていました)のに、他人にその失敗に繋がることを強要しようだなんて。なんて下劣な人間なのだろうと、かつての私は思ったものです。ま、その母も八年ぐらい前に家から出て行って、もう一生会うこともないので、どうでもいいんですけれどね☆


 とはいえ私は、恋愛が嫌いというわけでは全くありません。他者の恋愛感情も、それが私に向けられてさえいなければ、全力で応援します。

 自分には存在しないからこそ、恋愛感情とはどういうものなのか理解したいと思い、心理学の本を読んだこともあります。結果得られた答えは「恋愛とは理解するものではない」でした。それでも私にとって人間の欲望は、非常に興味深いものです。高校生同士のピュアッピュアな恋も、ネクロフィリアも同じベクトルで興味深いと認識しています。


 私は普通に恋愛小説も読みますし、好きな恋愛小説もあります。私にとって恋愛とは魔法のようなもので、恋愛小説とはファンタジー小説なのです。美しい恋愛=魔法が作中で使われていたら、うっとりしてしまいます。

 ただ皆さんはファンタジー小説を読んだ後、「どうして自分には魔法が使えないのだろう?」と落ち込んだりはしないですよね。それと同じような感じで、私も恋ができないからといって悩んだことはありません。他者から恋愛感情を向けられたこともないですしね。というわけで私は、この家系で三代目の生涯独身の喪女になるのです!

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