聖女?私は巫女ですが?[聖女じゃないから追放されたので自由を求めて生きていきます]

水酸化銅水溶液

巫女ですが異世界に召喚されました orz

聖女召喚前



日本の京都府東山区にて

布団にくるまる高校生がいた


「いい加減起きなさい、瑞音。

 あんた今日は龍納祭の神楽の本番なんだから。

 いくら夜から始まると言ったって準備があるのだから

 早く起きた方が身のためよ」


「そんな殺生な、舞う身にもなってほしいよ。

 こんなになるまで昨日は練習したんだから」


不満げな顔で文句を告げる


「瑞音、あんたが頑張ったのは母で巫女でもあるこの、

 櫛灘 赫禰くしなだ あかねはよくわかるわ。

 でもね、今日は人生で一番大切な日と言っても過言ではないわ、

 だって初神楽でしょ」

「そうだから練習してつかれてるの。

 わかってるなら寝かせてよー。

 なんか頭も痛いし」


「風邪でも引いたら大変よ、...そうね、ならあと一時間にしなさい。

 寝すぎるとかえって体に毒よ。」

「はぁーい」

「そうだわ、今日でたくあんと白米生活は終わりだから

 解放されるわね。帰ってきたら瑞音の好きな食べ物を食べよう」

「外食がいいね~」


_____________________________________



「準備できた?瑞音?

 変なとこにしわ寄ってない?髪留めと櫛は落ちないようにつけた?」

矢次早に質問する赫音


「大丈夫だって、巫女服が少し重たいのが誤算だけど

 気にならないくらいかな」


そこにはコスプレとは雲泥の差があるほどの姿をした瑞音がいた

緋色の髪留めで長い髪を結い、右側は珊瑚の櫛がついている

下はオーソドックスなものと違い、深草色の袴を穿いており、

上は黒がベースので背中には金色で大きなが入っている



両手には鈴を持ち、動くたびにシャンシャンと鳴り響く


「それにしてもその巫女服姿がいつ見てもいいわねー

 お母さんもこれを着て龍舞の神楽を舞ったのよー」

「綺麗なのは当たり前、東京の秋葉原のコンカフェみたく

 安い素材で作ってない一点ものなんだから。

 ていうかこれ何時からあるの?」

「さぁ、気づいたらあった、みたいな?

 お母さんそこらへん詳しくないのよー」


ズキッ

(何なのこの頭痛は?)



「うっ」

「瑞音!あなた大丈夫?

 無理をする必要はないわ、体がつらいなら言いなさい

 神楽を踊る機会はあなたにはたくさん残されているのだから」

「大丈夫、ただちょっと幻聴がしたかも」

「!!...なんて言ってったかわかる?」


朧げな記憶を辿るもよく思い出せない

「名前を呼ばれて、、、それから、、なんか言ってた気がする」

「そう、そうなのね」

「これは大丈夫なの?」


不安げな顔をする瑞音に対して、赫音は複雑な顔をしていた

「まさか私の娘に来るなんて」

瑞音に聞こえぬようにつぶやく


「なんか言った?」

「いいえ、とりあえず頭痛の原因は分かったかもしれないわ

 でも舞には影響は特に出ないから安心はしてはいいわ」

「そう、なの?

 ならいいのかも」


まだ不安が抜けきらないのを悟ったのか、激励の言葉をかける


「気楽にいきなさい、ほらあと少しで出番よ。」

「なんか緊張してきたかも、手が震えてきた」

しゃんしゃんしゃんしゃんっっと鈴を鳴らして

そう言って母に見せる


「クスッ、それくらいの気持ちで行けるならいいわね。

 ........瑞音。あなたは少し自分に甘くて、怠けることもあるけど

 立派に育ちました、誰が何を言おうとも、

 あなたは私の誇りよ。辛いこともこれからあるかもしれないけれど。

 気にせず、あなたらしく生きなさい。いいわね?」


涙目になってそう言う赫音


「何唐突に、一生の別れでもないのに。

 でもおちついたかも」

瑞音は飄々とした様子になる

「ほら、あなたの出番よ、行きなさい」


_____________________________________



瑞音が歩く度に鈴の音が一定のペースで響き、周りに緊張感を宿す


どれくらい時がたったのだろうか

琴や琵琶、篳篥、太鼓などの楽器はそこにはなく

ただ瑞音が立っている



薄暗い神社の森の中、篝火の炎が揺らめき、周囲を幻想的な光で瑞音を照らす。

その炎に照らされ、巫女の衣装についた刺繍が浮かび上がる。


目を閉じ、深呼吸をする。体を動かし始めると鈴の音が軽やかに響き、

袖がこすれる音がなぜか鈴の音と重なる。


彼女の動きは緩やか淀みはなく、力強い。

祈るように、諭すように、鎮めるように舞っている。


篝火の炎は、巫女の舞に合わせて揺らめきと勢いを増す。


それはもはや完成された芸術といっても過言ではない


夜明けが近づき最後の舞を踊るときだった



「あ””””」

(何にこれ”、いだい”)

言葉では表せないほどの頭痛が突如として襲う

痛みに耐え切れず、膝から崩れ落ちてしまう


気づくと篝火が消えていた





______________________________________新作です 超ド級の低頻度です

あんま期待しないで
















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