寿司と言ったらシーチキン

第2話




 「昔さ、友達と寿司屋に行ったことがあるんだけど、魚が食べれなかったんだよね。魚っていうか、生魚が」


 「は?ガチで言ってる?」


 「そうだけど」


 「じゃ、何食べたの?」


 「エビ…」


 「それだけ!?」


 「あとシーチキン」


 「子供じゃん」


 「だって美味しくないし。口で食べる前に頭で食べちゃうっていうか」


 「頭で食べるってなんだよ」


 「なんか痛々しくない?想像しちゃうんだよね。海で泳いでる魚をそのまま食べてるみたいで」




 焼こうが煮ろうがそのまま食べるってことに変わりはないでしょ。


 そう、フレンは話す。


 生魚なんて野菜と一緒なんだから、新鮮さが肝心なんだって。


 ゲロゲロ。



 今日の2限目は実技演習だった。


 順番を待っていた私とフレンは、対戦相手の『ビショップ』のチームと別のフロアで談笑していた。


 実技演習がいちばん楽しい。


 だけどこの前失敗しちゃったんだよね。


 ルール違反というか、演習場の壁を破壊しちゃったせいで。



 「いい?また先生に怒られちゃうから、自分の能力を過信しすぎないこと。力でねじ伏せようとするのは素人のやることだよ?わかった?」


 「わかってるって」


 「じゃ、頑張って。モニターで応援してるから」



 前回壁を壊してしまったのは、“超重力(スーパーグラビティ)“の能力をうまくコントロールできなかったせいだ。


 何が最悪って、その時ちょうどお腹が痛かったんだよね。


 前日の夜に、ミカの家でたこ焼き食べすぎてたから。

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