第18話 新しい人間関係


 莉音と茶楽雄との離別のあと、いよなと食事をした。でも、直前にあったピンク色の空気が気不味さを生み出してなんともいたたまれない。


「さあたんと食え!俺の奢りだ!」


「ワーイ、ウレシイナ〜」


 うん、いたたまれない……


「うんすまんかった、謝るから普通に接してくれ」


「はい……くすぐったかったの……気持ちよかったんじゃないよ?」


「分かったから!俺が悪かったから!赦してください!ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい!」


「くすくす、なんかりっちゃんみたいだねぇ」


 ほっ、やっと普通に喋ってくれた……アイツラと別れて、そのうえいよなとまでこんな事で疎遠になったりしたら目も当てられない。


「まあ縁切る前に茶楽雄との決着がついたのは良かったわ」


「へ〜決着ついたんだぁ、笑っちゃうくらい互角だったのにねぇ」


「おうよ!59勝57敗52引き分けついに決着だな」


 茶楽雄との長年にわたる闘争にもついに決着がついたのだ!今度煽りメール入れたろ……って駄目だろ縁切ったんだよ!


「あたしがチャラくん煽っとくね?」


「おっさすがによく分かってんな?おもくそ煽っといてくれ頼んだ!」




 明けて日曜日、この日はホントなら莉音とデートに行く約束をしていた日……


「暇だな……そうか、こんな日がこれからは続くのか……」


 なんか胸がいてぇなやっぱり心が残ってるんだろうな、この痛みに慣れたときにやっと莉音と決別できるのだろう。と、4段のトランプタワーを組み立てながら思った。




 月曜日、先週までなら4人で登校していたが今日からはいよなと2人で登校となる……


「ラーくん課題やった?」


「あっ!昨日はずっとボーッとしてた……やってねぇ。いよなさま!見せてくださいオナシャス!」


「あらまぁ、珍しいねぇラーくんが課題やり忘れるなんて?まぁ今回は特別に見せてあげますよぉ。いよなちゃんを崇めなさい!」


「ははー!いよなさま」


「ウム貸してあげるねぇ」



 教室に入ると向かいの席のあらたが話しかけてきた、


「よぉー根都、今日は仲良し4人組での登校じゃなかったのな?」


「毎日一緒ってわけでもねぇよ」


「なに言ってやがる、広田さんとは毎日ラブラブじゃねーか。まぁここ最近はそーでもない感じだったけどな?」


「なんのことだ?」


 よく見てやがんな……面倒くせえなこいつ。


「そんな嫌そうな顔すんなよ……傷付くな……」


「嘘つけそんなことで傷付く玉かよ」


「ハッハッハ、まあねー」


 何が言いたいんだこいつ?気に入らねぇな……


「だからそんな顔すんなって、お前は顔に出やすいな〜。ちょっと噂になってんぞ?」


「何がだよ」


「お前と広田さんが危ないんじゃないかってな?」


「はん、そんなことかよ……」


「実際、俺から見ても怪しいんだよな……まあいいや。どうする?噂を消すなら少しは手を貸すぞ?」


「何でだ?意味が分かんねぇぞ?」


 こいつが手を貸すメリットもないし理由もない。なんのつもりだ? 


「ただの気まぐれなんだけど、それだと納得してくれなさそうだな〜、じゃあお近づきの印と思ってくれ」


「勝手に近付くな、狙いは莉音かいよなか?」


「そう警戒するなよ……俺彼女居るから大丈夫だって!」


 フン、まあ鼻は利きそうだし気も使えるみたいだから、手を借りてみるか……


「そういうことなら悪いが手を借りて良いか?」


「おっと、そうこなくちゃ。任せときな噂はできる限り消してやるよ」


「いや、そうじゃなくて、さらに噂を流して欲しい」


「あん?どんなだ?」


「俺と莉音が別れた、でも莉音に手を出したら茶楽雄が動くってな。分かってると思うけど出どころはバレないように頼む」


「ふん、お前も大変だねぇ、いろいろ気を使って……まあ任せとけ、上手くやってやるよ。下司野以外に広田さんには手を出させない」


「上等、頼むわ」







◇◆◇◆


お読みいただきありがとうございます。


仲良し4人組解体……新たな人間関係を作っていきます。そして満を持して仁くん今作初登場です!


次回も読んでいただけると嬉しいです。



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