第39話「二度と戻らない青春の日々を…… 今、私達4人は共有していた」

楽しい楽葉原デートも終わり、週明け。

私は元気に登校する。


「おっはよ~ございま~す!!」


「おはよう!」

「おっはよう!」

「おっはあ!」


「おはようっ!」

「おっはようっす!」

「おっはあ!」


「凛、おはよう!」

「山脇、おっはよう!」

「おっはあ! 凛ちゃん!」


教室へ入って、全員へのあいさつも100%完璧。

今ではクラス全員が、笑顔で私へあいさつを戻してくれる。


勿論!

颯真君と遥も!


「凛! おはよう!」


「おはよう! 遥!」


「おはよう! 凛ちゃん!」


「おはよう! 颯真君!」


よっし!

今日も頑張ろう!


恋に友情に勉強にと、あっという間に1か月が過ぎて行く……


充実した日々、ベタな言い方だけど、青春真っただ中って感じだ。


……その間、週末ダブルデートは恒例の開催となった。


企画立案は4人の持ち回り。


場所は、近場が多かったけど、

エキゾチックでおしゃれな港町『縦浜』へも遊びに行って、

食べ歩きやショッピングを楽しんだり、スポーツ観戦にも行った。


颯真君、海斗君の合同企画、身体を動かそうという事で、

4人一緒に郊外でサイクリングもした。


全員で楽しもう! と頑張って企画を考え、毎回楽しく盛り上がり……


普段の付き合いと、このダブルデートで、

私、颯真君、遥、海斗君の4人は更に更に仲良くなった。


当然、私と颯真君の心の距離も、どんどん近くなって行った。


そんな日々が続き、1か月が経った……


私たちの『ランチ』は、あの相原さんもレギュラー参加するようになり……大盛況。

いや、もう私たちだけのランチではない。


1年生のほぼ全体が、自然にひとつとなり、交流し、仲良くなっている。


更に1年生に引っ張られる形で、上級の2年生、3年生にも波及。


見知った友人同士、先輩、後輩のつながりを皮切りに、

クラス、学年の垣根を超え、学校全体に及んで行った。


私にもクラスを超え、たくさんの友だち、顔見知りが出来た。


という事で、今日もまた学食は大盛況。


たくさんの生徒たちでにぎわっている。


でも私のかたわらには、いつも颯真君、遥、そして海斗君が居た。


今日は、私の提案で早めにランチを済ませ、屋上へ。


学食だけではない。


屋上でも同じ学年同士、学年を超えた交流があちこちで行われていた。


そんな中、私たち4人は、誰も居ない一角に陣取る。


前にも言ったけれど……

ウチの学校は街中にある。

でも中心部からは少し離れているから、

周囲にはビルのように高い建物がなく、屋上からの眺めはとても絶景。


特に今日みたいな日は最高だ。


頭上は一面、真っ青な大空。

遠くを見れば、美しい山並み。

大パノラマという趣きがある。


屋上から見えるこの風景が、私は学校の中で一番好き。


まだまだ先だけれど……

卒業したら、年齢を重ねたら、

こんなに気軽には、この学校の屋上には来れなくなる。


少し感傷的になった私……


もう何度も眺めていて、心にしっかり刻んだ風景だけど、


……絶対に忘れないよ!

と、決意を新たにする。


私の傍らには、寄り添うようにして立つ颯真君。

どうやら気持ちは一緒のようだ。


そっと話しかけて来る。


「凛ちゃん、小さい頃、ショッピングモールの屋上にある展望台からも、この風景が見えた。その時は家族で見たけれど……学校の屋上から見る風景は、昔と変わらないな」


「うん! 昔と変わらない! 素敵な眺めだね!」


「ああ、素敵だ! ……俺は、この風景を絶対に忘れないよう、しっかり心に刻んでおく。失われてしまったふるい街並みの想い出とともにね」


「うん! 私も颯真君と同じだよ! 楽しいたくさんの想い出を絶対に忘れないよう、心に刻んでおく。永遠に心にとどめておくよ」


「ああ、俺と凛ちゃん、ふたりで一緒にな。これからも素敵な想い出をたくさん作ろう!」


変わらない故郷の風景を見つめる颯真君の目は遠く、表情は真剣だった。


私は嬉しくなり、ちらと見やれば……

遥と海斗君も寄り添い、何か話していた。


ふたりも一緒に、この瞬間の想い出を、しっかりと心に刻んでいるに違いない。


そう!

二度と戻らない青春の日々を……

今、私達4人は共有していた。


そして……

初恋の相手、大好きな颯真君と過ごす貴重な時間を、

私は、しっかりと感じていたのである。

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