Detective story of truth and lies

なゆお

プロローグ

季節の無いこの世界。

寒いも暑いも無く、快適であり、快適では無いこの世界。

ただ彼女は、コーヒーを飲んでいた。

「…やはり、秋に飲むホットコーヒーは美味しいとは思わないかい?助手君」

「そうですね。季節無いですけどね」

「そんなの気にしなくていいさ。例え、温度が変わらずとも木が色を変えなくても、ただ、そんな事実さえあればいいんだ」

「そうですかね…」

僕はそんな言葉を聞き流し横目で周りの野次馬共を見る。

時々聞こえてくる彼女の功績を聞き飽きながら。

依頼人A「おい、あれ、事件事故解決率100%の噂の名探偵フェイクじゃないか」

依頼人B「すげぇー、本物だ。綺麗だなー」

そう、人々が言っていると、彼女は言う。

「すまない。コーヒーの邪魔だ。少し考えたい事があるのでそこら辺にしてくれないか」

そう、彼女が言うと人々は去って行った。

彼女に嫌われたくないのだろうか。

そんな事を思っていると、彼女は僕に話しかけてきた。

「そんなに自分の栄光が、他人に取られるのが嬉しいかい?本当の探偵、レートル君」

そう。僕が、僕こそが本当の探偵。

僕が解決して、それを彼女に言う。

そんな事ばっかりしている。

何故か?

理由は簡単。目立ちたくないからだ。

今の彼女のような事にはなりたくない。

それにこれは、彼女の願いでもある。

だから、ちょうど良かった。

「そういえば、ホテルどうします?」

「いつもの所で良いよ」

「分かりました」



「あぁー疲れたー!」

「はぁ…」

彼女の性格は公衆の面前ではクール系だが、

本当はだらしない。

「みんなの前であの性格はやめといた方がいいってあれほど言ったのに…」

「嫌だー!せめてクールでいたいー!」

「なんでですか」

「いいじゃーん!」

「はぁ…」

ますますため息がでる。

僕は、後何百回ため息をしなければならないのだろうか。

先が思いやられる。

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