第23話 光と闇の交錯

――王国の訓練所。


 対峙たいじするのは、光の皇女レティシアと元闇の皇女アリシアだ。何故か俺の『婚約』(?)を巡って、決闘する流れとなった。


「逃げるなら今のうちよ? 自意識過剰のお姫サマ(笑)」

「貴様こそ吠え面を掻くなよ? 私が勝ったら即、城から出ていってもらう」


 バチバチッ! と火花を散らす二人。お互い譲る気など一切ない。


「大した自信ね? 聖剣なしで私に勝てるとでも?」

「必要ない。この銀の剣でお相手しよう」


 フム? 聖剣ほどではないにしろ、かなりの業物のようだ。


「まぁ負けた時の言い訳には、丁度いいかもね。そろそろ開始はじめましょう」


 アリシアは挨拶代わりと言わんばかり、瓦礫を飛ばしてきた! 『具現化』で厄介なのは、相手の動きが読めない点だ。

 レティシアは避けもせず、正面から突っ込んでいく! これにはアリシアも驚く。


「なんですって!? 正気なのっ」


――ザンッ!


 たった一振りで、複数の瓦礫が木っ端微塵となった! 出たな、スキル斬り。流石のアリシアも、初見じゃビビるよな?

 しかもレティシア、脚だけではなく身のこなしも段違いで速い。また腕を上げたな……多忙なのに鍛練も怠らないとは、頭が上がらない。


「チッ……! これならどうっ!?」


――ボンボンボンッ!


 これは水蒸気爆発ウォーターバーストか!? だがレティシアは全く動じず、これも冷静に斬り裂いた!


「……っ!? 不可視も斬り裂くなんて、反則じゃない!」

「アリシア・グレイス・ヴェルサスっ! その首、もらった!」


 レティシアが●意MAXで、アリシアに肉薄した! ギギィンッ! いつの間にか、召還していた真紅の鎌で迎撃するアリシア。


「ちょっと今、●す満々だったでしょ!? もう怒ったわ!」


 アリシアの鎌が一閃! レティシアが危険を察知して、距離を置いた。今のは俺ですら、視えなかったぞ!?


「ハハーン、成程。思った通り、スキルじゃなければ・・・・・・無効化出来ないようね? 今度はこっちからいくわ!」


「チィ……!」


――ギンギンギンギンギンギンギンッッ!!


 正面から打ち合うアリシア。レティシアも一切、余裕がない。通常攻撃だけ・・で、ここまで強いとは……!


「……このままでは、埒が明かんな」

「そうね……そろそろ決着きめましょうか? お互いのとっておきで!」


 間違いない……二人ともアレを出すつもりだ。アリシアは終焉の焔メガフラッシャー……俺が聖剣の力を借りて、やっと凌いだスキルだ。

 一方、レティシアは光の螺旋オーロラ……あの闇竜の全力ブレスを斬り裂いたのだ。どっちに転ぶか、全く予想できない。


……てか、このまま傍観してていいのか? なんだか途轍とてつもなく、イヤな予感がする。


 光と闇が全力でせめぎ合ったら、対消滅でも起こすんじゃないか? だとすれば、冗談では済まなくなる。


 なので、俺はこっそり割り込むことにした。二人とも、悪く思わんでくれよ?


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