女子高生と同居することになった!

Arimura Yui

プロローグ - あかりに10年ぶりに再会する

どう見ても信じられなかった。 今、道の向こう側に絶対忘れられない存在であるあかりが立っていた。 制服を着たままバス停の前に立っていた。


二人がそれぞれ立っているところは多少距離があったが、レンはあかりの顔をはっきりと見分けることができた。 丸くて大きな目と高い鼻筋、そして白い肌と日差しが光って輝く長い髪は10年前、彼女の姿そのままだった。

学校に行く度にレンの心臓をときめかせた、そして出会う度にレンを凍りつかせたまさにそのあかりだった。

渡辺明里。レンと同じ歳の彼女を知ったのは部活を一緒にしながらだった。 同じクラスになったことはないが、映画鑑賞部の部活動を通じて知り合った。


レンはあかりに初めて会ったあの日を忘れられなかった。 高校2年生になって初めての部活動授業を始めた日だった。 まず部活動教室に座っていたレンは教室のドアを開けて入ってくるあかりを見た瞬間、あっという間に心を奪われてしまった。 それくらいならかなりかわいい顔でもあったが、白い顔と雰囲気のためだった。


人が誰かにあれほど短い時間で心を奪われることができるというのが不思議だった。 レンも中学1年生の時から女子生徒に好感を持ったことはあるが、これほどの感情ではなかった。 こんなにあっという間に誰かに心を奪われたことはなかった。 「強奪」という表現の方が正確だろうか? レンはあかりに瞬く間に自分の心を奪われてしまった。


実に不思議なことだった。 レンはあまり内向的とは言えない性格だった。 それなりに友達ともよく付き合い、話も上手で積極的な性格だった。 ところで、不思議なことに他の女の子たちに接する時はそうではないのに、あかりの前では言葉が出なかった。 そして、他の女の子たちは外見がきれいだったり、そんなこととは関係なくまっすぐに眺めることができるのに、あかりだけはまっすぐに頭を上げて眺めることができなかった。


後になって自分の気持ちを知ったが、その理由はレンがあかりを愛しているからだった。 話したこともない女の子を愛しているなんて話にならないかもしれないが、レンは明らかにあかりを愛していた。 ある意味自分の頭の中が全てあかりに対する考えでいっぱいであかりにすべてを奪われてしまったような感じもしたが、それは「愛」という言葉以外には表現できない感情だった。


10年前にレンの心を根こそぎ奪ったあかりが、今目に見える近くに立っているのだ。


レンは二度と会えないと思っていたあかりにまた会ったという考えで理性が完全に麻痺した。


「間違いなくあかり。 あかりだよね?」


レンは通りの向こう側であかりが立っている方をしばらく眺めた。 でも、今レンが経験していることは夢かもしれないので、夢なら起きる前にあかりの顔を近くで一度でも見たかった。


レンは周囲を見渡し、両方とも車が来ていないことを確認した後、赤信号が点いている横断歩道を素早く渡った。 あかりは今バス停の前に立っているので、待っているバスが来る前に確認しなければならなかった。


レンは震える自分の心臓を感じながらあかりの方に慎重に近づいた。 そして近くに至った。


「そうだ!あかり!」


今ではその女子生徒があかりであることを少しも確認することができた。


「ところで、どうしてあかりがここにいるの? それも10年前の姿そのままだなんて…···…」


レンはあかりと少し離れたところに立ってあかりの顔をちらりと見た。 ところで、高校時代にレンが好きだったあかりの顔と同じだけでなく、10年前の姿そのままだった。


「じっとしていよう。 しっかりしろ。 もしかしてあかりに似てる女の子じゃないかな? 10年経ったのに、顔がそのままのはずはないじゃない?」


レンが28回目の誕生日を控えているため、同級生だったあかりも今20代後半でなければならなかった。 さて、あかりは相変わらず10代後半の清楚な女子高生だった。 それなら、今レンと近くにいる女子生徒はあかり理解できないほどそっくりな女の子か、あるいはレンが夢を見ているに違いない。 または、あかりに酷似した10年年下の妹である可能性も全く排除できなかった。


「双子でもないし、妹がいるとしてもあんなに同じことはできない。 そして、10年という時間が経ったのに、どうしてそのままなの?」


レンはしばらく考えてみたが、腕をつねってみた時に痛いと見てもそうだし、時間が経つ速度から見ても夢ではなく現実に違いなかった。


「じゃあ、もしかして?……」


急に「タイムスリップ」という単語が浮かんだ。 それなら10年の時をさかのぼって過去に来たというのか? レンは落ち着いて考えてみようとしたが、あかりと再び会ったという事実に対する興奮と共にあかりがバスに乗っていつ消えるか分からないという焦りに全く理性的に考えられなかった。


「10年ぶりにまた会ったのに、 そのまま過ごすわけにはいかない。 今声をかけなければ二度とチャンスが来ないかもしれない。」


レンは勇気を出してあかりに近づいた。 そして声をかけた。


「あの…···…」

「え?」


レンが近づくとあかりが慌てて答えた。


「今の時間が…···…」


あかりは自分が持っている携帯電話の画面を見て言った。


「3時55分です」

「いや、そうじゃなくて…···…」


正確にはレンが聞こうとしたのは時間ではなく今が何年度なのかだった。

レンはふとあかりの携帯電話をのぞき込んだ。


「え?」


あかりの携帯電話は10年前にも出てから3~4年ほど経った機種だった。 それならいくら考えても13~14年前に発売された携帯電話を持っているはずはなかった。


あかりはバスが近づいてくるのを見て、バスの方へ素早く歩いた。 レンはその瞬間、あかりをそのまま行かせてはいけないと思った。 レンはバスに乗るあかりの後ろに向かって大声で叫んだ。


「ちょっと待ってください!」


レンの声がどれほど大きかったのか、道を通っていたカップルがびっくりして振り返った。 あかりはバスに乗ろうとしている途中、裕樹を振り返った。 レンはその瞬間を逃さず大声で話した。


「聞きたいことがあります!」


あかりはバスに乗ろうとしてその場で止まった。 バスはその間に出発し、バス停にはあかりとれんだけが残っていた。


「どうしたんですか?」


あかりはレンがなぜそんなに大声で自分を呼んでバスに乗り遅れたのか聞きたいようだった。


「あの、名前は渡辺明里ですか?」


あかりはびっくりしながら言った。


「どうやって…···私の名前を知っていますか?」

「それがあの…···…」

「どちら様ですか?」


あかりは恐怖に包まれた様子だった。 レンはその瞬間、考えた。


「私を知らないんだ。 じゃあ、どうしよう?」


しかし、ここからそのまま行くわけにはいかない気がした。 レンは勇気を出して問い返した。


「あの、芹沢蓮って知ってますか?」


「芹沢蓮ですか?」


「はい、芹沢蓮という男子学生を知りませんか?」


あかりはレンの質問に何かを考えようとして答えた。


「芹沢蓮…···…」

「映画鑑賞部の部活動学生です"。」

「あの、映画鑑賞部のサークルで一緒に活動しているのは確かですが、どうやって?…….”


あかりは不審そうな目つきでレンを見つめた。 あかりの名前のようなサークルの男子生徒の名前、そして活動しているサークルまで言ったため、あかりを傷つけるために近づいてきたストーカーと間違われやすい状況だった。


「レンという男子学生、わかりますか?」


あかりはしばらく何かを考えて、レンに尋ねた。


「ところで、いったい…···…どなたですか?」


それはレンに聞いていることだった。 レンは10年前の記憶を思い出し、再びあかりに尋ねた。


「もしかして部活室でもらった紫色の封筒の中に入った手紙 覚えていませんか?」

「紫色の封筒?……」

「はい。」


あかりはしばらく何かを考え、レンにもう一度尋ねた。


「もしかしてステッカーは貼ってありましたか?」

「はい、そうです。」


ところが、突然そのサンリオキャラクターの名前が思い出せなかった。 レンはそのキャラクターの名前を思い出すために頭を絞ったが、わずか数十秒の時間がものすごく長く感じられた。


「あ、シナモンです! シナモンステッカーを封筒に貼りました。」

「あ、シナモン! そうです。そのステッカーが封筒に貼ってありました。」


あかりの返事にレンは難しい数学問題を解いて正解を当てたような気がした。

あかりは恐怖心が消えたのかレンの顔をじっと見つめながら尋ねた。


「ところで…···おじさんはどなたですか? どうしてそのことを知っているんですか。」

「え? おじさんですって?」


レンは「おじさん」という言葉にびっくりして問い返した。 そして、突然思い出したように携帯電話を取り出した。 そして、自撮りモードに変えて携帯の画面に映った自分の姿を見つけてびっくりした。


「え?」

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