第13話 馬車の中で

 結果的に私は両親から迫られた事で、トルドが用意した馬車に乗せられて王宮へと連れていかれている。執事であるナホドを連れていきたいと懇願した事で彼も一緒にいるのは幸いではあるのだが。


(元の家じゃなくて、王宮って……)


 元をたどれば私達は流刑処分にされたのだ。元の家より王宮内の方が監視がしやすいのはあるだろう。

 なので最初は牢獄にでも繋がれるんじゃないかと考えた。しかしトルド曰くそういう事はしないという。


(本当だろうか)


 これは罠なのか。それともトルドがまた何か考えているのか。

 王宮に到着した私達一行は王宮の者達によって案内され、王宮内の一角にある部屋へと通された。屋敷で言うところの離れにあたる場所らしい。


「ここで一家そろって暮らさなければならないのか……?」

「そしたらあの洋館より狭くなるじゃないの!」


 案の定両親がまた騒ぎだしたのをしり目に私は部屋の中を物色して回る。調度品は確かにあの洋館より豪華なものが置かれているし、1部屋分の広さで言えばあの洋館での私が使っていた部屋よりも広いのは広い。


(ここに閉じ込めて一体何を……)


私はぼふっと静かにベッドに座る。

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