幼馴染のお姉さんが担任の先生になった

海野 流

第1章 幼馴染との再会

プロローグ

 俺には7歳年上の幼馴染がいる。年が離れているのに幼馴染というのも変な感じがするが、まぁ間違ってはいないだろう。


 その幼馴染の名前は日向ひゅうがみお。幼少期に近所に住んでいた女の子で、親同士も仲が良かったこともあり、俺は物心がついたころから、澪ねぇちゃんと仲良くしてもらっていた。多分、一緒にお風呂とかも入っていた気がする。まぁ、7歳も離れていれば、一緒にお風呂に入る頃には、澪ねぇちゃんの体は成長し始めているわけで‥‥。

 これ以上はやめておこう‥‥。


 とまぁ、そんな感じで仲良くしてもらっていたんだが、俺が小学校に入学する直前に、澪ねぇちゃんたちが引っ越すことになった。澪ねぇちゃんのお父さんの仕事の都合だ。


 俺は大泣きした。めちゃくちゃ駄々もこねた。それくらい当時の俺にとっては、澪ねぇちゃんという存在は大きかったからだ。


 澪ねぇちゃんや澪ねぇちゃんの家族、そして俺の家族が何度も「また会えるよ」と説得しようとしてきた。けど、そんなことじゃ俺は納得できなかった。これから先、また会えるなんて保証はないからだ。

 だから俺は、こんなことを言った。


「みおねぇちゃん!つぎにあったときは、けっこんしよう!やくそく!」


 子どもなりに、「また会うためには」と考えた結果だ。結婚する約束をしていれば、絶対会えると思った。成長した今は、ただの口約束に過ぎないことはわかりきっているけどな。

 けど、そんな子どもの戯言ざれごとにも、澪ねぇちゃんは笑顔で頷いて「約束しよう」と言ってくれた。当時の俺にとってはその約束だけが澪ねぇちゃんとのつながりだった。


 それから俺も、小学校、中学校と順調に成長していき、いよいよ高校生になる。澪ねぇちゃんは7個上だから、大学を卒業し、今年から新社会人となる頃だ。


 あれ以来、澪ねぇちゃんとは会ったことがない。当時は俺も携帯電話なんて持っていなかったし、連絡する手段もないからな。


 いくら約束したからといって、所詮はただの口約束。また再会できるかどうかなんてわからない。また会えたらいいなとは思っているが、連絡が取れないとそう簡単でもない。


 俺の両親は、今も澪ねぇちゃんのご両親と連絡を取っているらしく、たまに澪ねぇちゃんの近況を教えてくれる。(澪ねぇちゃんのご両親から澪ねぇちゃんの連絡先を聞けというツッコミは受け付けてない。なんかストーカーみたいでいやだから)


 そういえば、少し前に俺の両親が、澪ねぇちゃんの就職が決まったと言っていたような。

 確か職業は―――――――――――

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