第19話  闇への対峙

森の奥深くに隠された古代の遺跡は、厳かで神秘的な雰囲気に包まれていた。

巨大な石造りの門をくぐり抜けると、彼らは広大な地下空間に足を踏み入れた。

壁には複雑な象形文字が刻まれ、遠い過去の物語を語っているようだった。


アリシアは遺跡の内部を見渡しながら、手記の記述を思い出していた。

「ヨセフがここで何を見つけたのか、それが知りたい…」

彼女の衣装はわずかに風になびき、その優美な姿が遺跡の薄暗い光の中で際立っていた。


エドワードは壁に刻まれた文字を指差し、「ここに描かれているのは、古代の儀式…『闇の瞳』が何らかの形で関係しているのかもしれない」と推測した。


ガレスは古代の文献と壁画を比較しながら

「これらの象形文字は、禁断の力を封印するための儀式を示している。ヨセフはその力に触れ、そして変わってしまったのだろう」と分析した。


クロウは不安げにアリシアに言った。

「アリシア、この力には近づかない方がいい。危険すぎるわ。」


アリシアは決然とした声で答えた。

「わかってる。でも、私たちがここに来たのは真実を知るため。ヨセフのためにも、この秘密を解き明かさないと。」


遺跡の奥に進むにつれ、彼らは奇妙な雰囲気に包まれた部屋にたどり着いた。部屋の中心には古代の祭壇があり、その上には謎めいた黒い石が置かれていた。


「これが『闇の瞳』…?」

アリシアがそっと石に手を伸ばした瞬間、突如、石から強烈な光が放たれ、遺跡全体が震え始めた。


「アリシア、退け!」エドワードが叫び、彼女を引き寄せた。

その瞬間、祭壇から暗い力が解き放たれ、遺跡は崩壊の危機に瀕した。


ガレスは急いで呪文を唱え

「これは封印されていた力が解放されたのだ!急ぎ出るのじゃ!」と叫んだ。


一行は急いで遺跡からの脱出を試みた。アリシアは恐怖を感じながらも、勇敢に先頭を走った。彼女の足取りは迅速で、その美しい姿は遺跡の暗闇の中で一際輝いていた。


彼らは辛うじて遺跡から脱出し、外の光へと飛び出した。背後で崩れゆく遺跡を見ながら、彼らはヨセフの死の真相と、闇の力の恐ろしさを実感した。


「これがヨセフを苦しめた力…私たちはこの闇に立ち向かわなければならない。」

アリシアは決意を新たにし、彼女の姿は未来への希望を示していた。彼らの冒険は、新たな局面を迎えていた。

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