普通の学生であり魔族である者の日々
学園とオデッサイト、平行する冒険の日々
ーー翌朝ーー
「お兄ちゃん朝だよ!朝ご飯できてるから起きて!」
エリカの明るい声に迎えられ、俺はベッドから起き上がった。部屋には朝陽が差し込み、新しい一日の始まりを感じさせてくれる。エリカは笑顔で手作りの朝食を俺に差し出す。
「毎日ありがとうなエリ、いただきます!」
「お兄ちゃんがお金稼いでくれてるんだからこれくらい当たり前だよ!ほら、あったかいうちに食べよ?」
朝食を共にしながら、エリカは最近の学校のことや友達との楽しい話を話してくれた。俺はエリカの話に聞き入りながら、優しい微笑みが生まれる。
「今日数学の小テストがあるから先に行くね!ちゃんとお兄ちゃんも学校に行くんだよ!」
「わかってるって!小テスト頑張ってな!いってらっしゃい!」
「行ってきます!」
エリカは元気よく玄関のドアを開けて登校した。
「俺も準備して行くか......」
俺は制服に着替えて学校に行く準備をした。
「行ってきます」
俺は学校へと向かった。途中ヨイチとばったり会った。
「おはようハルト!なぁ、月曜日って憂鬱だよなぁ......早く帰ってオデッサイトしたいな......」
「それな!俺も帰って続きしたいな」
ヨイチと俺は共感しながら、学校の門をくぐって教室へ向かった。授業が進む中、頭の中は昨日の暴走したことで頭かいっぱいだった。やるべきことをこなしながら、気になることが頭をよぎる。
「魔族になってから苦労ばっかだな。まぁ、強くなるためには必要か......」
俺はつい口から言葉が出てしまった。それをヨイチに聞かれた。
「ん......?今何つった?魔族?まさかお前があのプレイヤー唯一の魔族なのか!?」
ヨイチは興奮して大声を出した。
「そこうるさい!じゃあヨイチくんここの問題解いてみて」
「えっと......わかりません」
「はぁ......ちゃんと授業に集中してください」
「すいません......」
ヨイチは俺に近づき耳打ちで聞いてくる。
「さっき言った魔族ってのは本当なのか?なぁ、答えてくれよハルト」
「はぁ......まぁお前ならいいか。誰にもいうなよ?実は......ひょんなことから魔族になったんだよ」
「マジかよすげぇな!羨ましいなぁ、俺は最近二次転職したんだけどレベル上げが大変でさ......」
ヨイチはオデッサイトでの話を俺に聞かせ続けた。
放課後、ヨイチと一緒に帰りながら話をしていると、ヨイチが突然言った。
「そういえば前言ってた一緒にやるって約束ちゃんと守れよ?」
「しつこいなぁわかってるよ!でも当分は出来なさそうで、ごめんな」
「やっぱ魔族さんは忙しいんだな、まぁ気長に待つわ」
「そうしてくれると助かるよじゃあ俺こっちだから」
「ああ、また明日な」
俺はヨイチと別れて家へと向かった。
「今日はバイト早上がりだし帰ってオデッサイトするか」
家に着くと既にエリカが帰ってきていた。
「あ、お兄ちゃんおかえり!数学のテスト満点だった!」
「おお、さすがエリだな!」
「私宿題してくるねバイト頑張ってね!」
「ありがとう、行ってきます!」
俺はバイト先のカフェに向かった。
「お疲れさま!ハルトくん、今日もよろしくね。」
カフェの店長である真奈美さんが、笑顔でハルトを迎えてくれた。俺は軽く頭を下げながら応えた。
「お疲れ様です店長。今日も頑張ります!」
真奈美さんはハルトに軽く手を振りながら、カウンターに向かって歩いていった。
夕方になり、カフェは賑やかになってきた。俺は注文を受けたり、料理を運んだりと慌ただしく働いていた。カフェの中には笑顔で楽しそうな会話が絶えず、その雰囲気に俺も心地よさを感じながら働いていた。
仕事が終わり、俺は真奈美さんにお疲れ様と挨拶をしてカフェを後にした。
「ただいまー!」
「おかえり!晩御飯出来てるから一緒に食べよ!」
「ありがとうエリ!いただきます!」
俺達は朝同様食事を共にする。食卓に並ぶ料理は、エリカの手料理でありながらも、彼女のセンスと工夫が感じられる美味しいものばかりだった。俺は喜んで箸を進め笑顔で言った。
「エリ、本当においしい!これ、また作ってほしいな」
エリカも嬉しそうに笑って返した。
「ほんと?よかった!」
食事の合間、エリカが話しかけてきた。
「お兄ちゃん、今度学校の友達と遊びに行ってもいい?」
ハルトは少し驚きながらも、優しく頷いた。
「もちろんだよ、エリ。たまには友達と羽休めしてきな」
エリカは嬉しそうに微笑んだ。
「わーい!ありがとうお兄ちゃん!」
夕食後、俺はオデッサイトにログインすることにした。
「流石にもう暴走してないよな......よし、ログイン!」
ーーープレイヤーハルトおかえりなさい。ログインを開始しますーー
どうやら既に暴走は終わっていたようだ。ログインすると俺はベットに横になっていた。側にはゾルガンが居る。
「お、目を覚ましたかハルト、まさか感情に飲み込まれるなんて、すまんかった」
「ゾルガンが謝る必要なんてないですよ!俺がまだまだ未熟だったから......」
ゾルガンは少し安心したような表情を見せながら、俺に声をかけた。
「焦ることはない。お前はすでに強い。次はその力をもっと理性的に操れるようになるのが課題だな」
二人はしばらくの間、静かな時間を共有した。俺は自分の中に眠る力と向き合い、新たな冒険への準備を始めることを決めた。
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