仮面装着

 新しいダンジョンが発生したという情報を得た高校生の暁駿は発生したらしき場所に行き、浮いている扉を発見する。扉の先を少しだけ確認しようとすると突如雨が降って来て、咄嗟に扉の中に入るとそこは配信で良く見るダンジョンで、図らずもダンジョンに入った事に駿は戸惑ってしまう。


「あ、思わずダンジョンに入ってしまったな、どうしよう、そうだ、扉を……」


 駿は再び扉を開こうとするが、すでに扉は消えており、その場に立ち尽くしてしまう。


「まじか……、仕方ない他の出入り口を探すか……」


 入った扉がすでに消えており、駿は別の出入り口を探す事とするが、その前に近くに宝箱があるのを確認し、中を開ける。


 これまでのダンジョン配信で駿も宝箱がダンジョンに落ちている事は分かっており、初めてそのダンジョンに入った場合、最初の宝箱にはダンジョン内の魔物と戦う為の力の元が入っているのだ。


 それは魔物を滅する力が施された武器であり、魔法や、それに準ずる不思議な力であるのだが、駿が手に入れたのは意外な物であった。


「か、仮面?ヘルメット?」


 駿が手に入れたのはヘルメットのように顔を覆う事ができる黒い仮面であった。


「うーーん、もしかしてこの仮面を装備すると何か戦える力が加わったりするのかな……、やるだけやってみるか」


 そう思って駿は仮面をかぶり、その瞬間駿の身体の周囲は霧に覆われ、しばらくすると霧は晴れて駿は仮面だけでなく、黒の鎧もいつの間にか身に付けており、駿も自分の服装が変わった事に戸惑っていた。


「ど、どういう事だ?仮面をかぶったら、俺の服装も変わった!ん?仮面にディスプレイが?メニュー……」


 メニューという文字が見えたため、駿は仮面の右側にあるスイッチらしきものを操作し、仮面のディスプレイに表示されているメニュー画面を開き、更にそこにある『仮面の力』を開く。


『漆黒の仮面:この仮面により得られる力はダンジョン内の魔物を滅する力があり、戦うほど様々な技を習得していく。またこの仮面は所有者の意思で装備解除でき、亜空間に転送されるが所有者と認定された者の意思で再装備も可能だ、解除のワードは「リリース」再装備のワードは「マスクオン」である』


 説明分を読んでなんとなくではあるが駿も理解していく。


「なるほど、つまりダンジョン内ではこの仮面をつけて戦えって事か……、もしかして俺もダンジョン配信者になれって事?」


 ダンジョン配信は強制されてするものではないが、力を得た事でやらなくてはいけないのかと思う駿なのであった。

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