第9話

 動けないまま。このまま、彼のことを思い出さないまま。彼がしんで。私は。


「うわぁっ」


 壁が。

 ぶっ壊れた。


「よぉ」


「えっ誰」


 いきなり誰か、知らない人が吹っ飛んできた。外で殺し合いでもやってるのかもしれない。


「あっ覚えてない感じか。そうかそうか。まぁ、仕方ないか」


 知らないやつ。なれなれしく話しかけてくる。


「とりあえず、キッチン借りるぞ。料理だ。久々に料理ができる」


「えっなんで。なに。なんなの」


「まぁまぁまぁ。座ってろよ。肉を焼いてやるから。美味いぞ」


 誰だよ。

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