分類その2.語り手による分類

 これは「あなたは」と語る語り手が誰かによる分類だ。


1.自分自身

 もう一人の自分が自分自身に対して「あなた」と語っている場合である。


 未来の自分が過去の行動を振り返って、過去の自分に対して「あなた」と呼ぶ場合や、現在の自分であってももう一人の自分それは多くの場合情熱的な自分に対して冷静な自分があたかも第三者になったかのように「あなた」と語る場合である。


 ミステリーにおいては多重人格になっているケースもあるだろうとあなたは思う。


2.自分以外の登場人物の誰か 傍観者・ストーカー

 主人公の傍にいる人物もしくは主人公をひそかに観察する人物が主人公に向かって「あなた」と語る場合である。


 なおそれは人物とは限らない。壁にかけられた肖像画であったり、大きな古時計であったりすることもあるとあなたは思い至る。


3.正体不明 無人称・四人称

 その舞台にのぼらない語り手である。


 実際には舞台に登場するかどうかは最後まで読んでみないとわからないとあなたは思う。


 なお、一人称でも二人称でも三人称でもない人称について、無人称、四人称、ゼロ人称、虚人称、物語人称など専門家がそれぞれ独自にその名称について持論を展開することがあるが、ここでは舞台にいない語り手を「無人称の語り手」と呼ぶ約束をあなたは結ぶことにした。


4.作者

 作者自身が読者を「あなた」と呼びかける場合である。まさにこの創作論がそうである、とあなたは理解する。

 小説よりも指南書や啓発書によく見られる技法だとあなたも思う。




 次は動詞・述語の時制による分類だ。そんなもので分類する意味があるのか? あなたは気になって次のページへ向かう。

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