減速する思ひのゆくへ蝸牛

減速する思ひのゆくへ蝸牛 

げんそくするおもひのゆくへかたつむり


季語:蝸牛(三夏)


ベランダの壁に見つけたカタツムリの殻

取ろうとしたら

強めの吸盤をはがすような感覚で

思いのほかしっかりと貼りついていた


捨てるには忍びなく

大きな鉢植えの木の根元に転がしておいた


そして数日後

植木鉢の縁をゆっくりと動くカタツムリを発見した


まさかの復活?

調べてみると仮死状態で夏眠や冬眠をする…とあった

乾燥した状態で低温や高温をやりすごすのだという

つまり、鉢植えの水分で元に戻ったというわけだ


干しシイタケみたいだなんて思いながら

ゆっくり移動するカタツムリを眺めていると

先ほどまで頭にあった懸案事項はどこへやら

人間も同じようにできたらどうだろうなどという

『モロー博士の島』ばりの

ちょっと不気味な妄想に走っていて…


気が付けば、カタツムリは鉢の外へと出てしまったのか

姿が見えなくなっていた


https://kakuyomu.jp/users/rubylince/news/16817330653275625621

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