第3話 なんで希望溢れる話が書けないの?

 『海水を淡水化して農業も無人化、あれ? アフリカ諸国が富裕化したんだが? おれまたなんかやっちゃいました?』というなろうばりのこのタイトル、異世界じゃなくて現実世界でやれよ。そうだろ?


 CO2を回収すると地球温暖化が改善されるだけじゃない。そうなんだよ。CO2だらけの星である火星に移住できちゃうんだ。なんでこの国のSFラノベ、こういった「希望」が書けないのだろう。「萌え」じゃなくて読者が欲しいのは希望なのね。特に中高生が読みたいラノベは。まさに「コスモクリーナー」ではないか。なんで21世紀の課題に真剣に向き合わないのだろう。


 (※火星の雪はドライアイスつまりCO2の塊です)


 『人工光合成でCO2回収、ついでに水素も作ったらガソリン車要らないんだが』という未来も作れる。


 『ヒキコモリ問題解決、だって引きこもってても仕事出来るし』というリモートワークの可能性すらSF作品にできない。半分もう現実化してるんだけどね。無人工場、無人タクシー、無人清掃機。となると人間の本来あるべき姿は「ニート」になって古代ギリシャのように哲学三昧、芸術三昧という社会になる。生産性がもう1000倍は違うだろう。そしてこのSFを現実化しようとしてる国がある。中国だ。つまり21世紀型のSFを書きたければ中華人民共和国を見てこいって事だね。実名出して申し訳ないけど『はたらく〇〇さま』のような世界は20世紀で卒業してほしいんだ。あんなのは無人マ〇ドナ〇ドを作ればいいだけの話だし無人レストランは北京冬季オリンピック(2022)で披露されたんだしね。あの作品の成功は「ドヤってる〇〇さまの方がみっともないって事に気が付かない20世紀の世界のままで生きている国、日本」って意味すらも分からないラノベ読者って意味になるんだからね。

 テクノロジーというのは人間を幸せにするためにあるんであって人間をさらなる労苦にさらすためにあるんじゃないんだよ。分かる? しかも『はたらく〇〇さま』を読んで傷付くのは現実に居るニート読者やフリーター読者なんだよ。本当に読みたいのは「そんな俺でも生きて行ける社会の構築」の姿なんだ。あれが1990年の日本だったらごもっともだけど2010年にあれをやられるとね。さらにそこから13年が経過したが一向に社会は「日本だけ」変わろうとしない。SFの書き手もだ。いい加減にしろ。


 労働は、美徳じゃない


 まずここで分かるよね。SFに必要なのは科学の知識や科学用語じゃない。むしろ人文知なんだということに。


 だって現実ドラマですらドローン宅配が出ずに「2024年問題が~」とか言ってるわけだよね。中高生にそういうみっともない大人の姿を見せてどうするのかね。その「ドローン」ってまさか日本人は空撮のためにある道具とか思ってないよね? ドローンショー専用機とかさ。せめてSFラノベの世界だけでも『ドローン宅配バイトでモニター見てるだけの俺』とか出してほしいな。


 SFに必要なのはその新・テクノロジーで社会がどう変わっていくかの人間ドラマなんだよね。


(第4話に続く)

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